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銃器工具痕鑑定の非科学性を主張する元FBI研究室長の宣誓供述書(50)終 [鑑定批判]

(21) 結論 承前

 『現在いえることは、犯罪学者にとって既知のパターンと容疑のパターンとの区別ができない(すなわち既知のパターンと容疑のパターンとは区別不能、同等あるいは一致と結論された)ときには、犯罪学者はその知見を適切に、明快に、かつ自制的に鑑定書に記載しなければならないということだ。たとえば、二つのパターンが同等あるいは一致したということは、必ずしもそれらのパターンが同一のものによって付けられたものであることを意味しないことを説明する必要がある。この点を説明すれば、犯罪学者といえども、これまでのように、痕跡を付けたものに関する結論を導くことを躊躇するだろう。また、そのような結論が健全な理論や確たるデーターに支えられたものでないことに気付くだろう(裁判所としての考え方も、これとほぼ同様の結論になるはずである)。

 鑑定者は、二つのパターンが互いに一致することを発見したとき、証拠物件の痕跡から一群の容疑物件あるいは容疑者の中から対象を一つに絞り込めたと説明するかもしれない。容疑物件あるいは容疑者を一つに絞り込んだ場合の結論の確実性は、対象となる一群の容疑者あるいは容疑物件の数によって決まる。唯一に絞り込める(すなわち各個体それぞれに固有性がある)ことには何ら科学的根拠はない。犯罪科学のほとんどの分野で(DNA型鑑定を別にすると)、対象をどこまで絞り込めるのかに関する根拠のある経験則は存在しない。鑑定者は、この点に関する知識不足を埋め合わせるために直感や推量を加えてはならない。鑑定者による絞り込めた容疑対象の数の推測は、あくまでも推測にしか過ぎない。単なる推測なのだ。』

   私は、この評価にまったく同感である。すでに述べたように、科学によって支持される正確で適切な結論は、「一群の工具を容疑工具から除外することはできない」となるはずだ。現在のところ、その「一群の工具」には、型式特徴を共有するすべての銃器が含まれる。鑑定者による、個別の銃器の製造過程に関する研究と(技能検定試験ではない)真の妥当性確認研究を行うことによってのみ、この「一群の工具」の対象を狭めることができる。

 以上要約すると、法科学分野で行われている銃器・工具痕鑑定は、科学としての厳密性を欠いており、個体識別をすることは許されず、その結論に信頼性があることを述べることは科学の世界でのみ許されることであり、この分野においては許されない。

 以上、私の嘘偽りのない証言である。

以上の証言が偽りの場合には偽証罪に問われることを承知の上で、私は真実を正確に証言した。

ウイリアム・A・トービン
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銃器工具痕鑑定の非科学性を主張する元FBI研究室長の宣誓供述書(49) [鑑定批判]

(21) 結論

 銃器・工具鑑定の結論の前提となる(痕跡の)固有性は、確率的な推論に基づくもので、鑑定者は自らの経験で得た「異なるものに由来する最も類似した痕跡」の記憶を頼りに結論を導いている。この法科学界にはびこる個体識別が可能であるという考え方が誤っていることは明らかである。その点についてザクス(Saks)とケーラー(Koehler)は次のように述べている。

 「めったに現れない特徴は固有痕かもしれないが、特徴の総数に対して、対象となっている個体の数がずっと少ないからと言って、それらの個体がすべて異なる特徴を有しているとは限らない。このことを簡単な例で示そう。00から99までの100種類の数字を印刷する宝くじの印刷機を考えてみよう。この印刷機はこの100種類の数字の中から、ランダムに一つの数字を印刷する。10人が順に印刷されたくじを引いたときに、すべての人が異なる数字を引き当てる確率は100%ではない。10人に対して、くじの種類の可能性は、その10倍の100通りあるが、実際には、すべての人が異なる番号のくじを引き当てる確率は約40%である。

 多くの法科学分野が抱えている個体識別の概念は、抽象化され、あるいは誇張された存在である。そこに科学的な妥当性はなく、出現頻度が少ない特性を固有性と考えている誤った論理である。

 固有性とは単一無二を意味している。固有の特徴は、「絶対的な特性」、「この世に一つしかない特徴」である。

 ザクスとケーラーが論究した固有性の限界に関する指摘は、DNA型鑑定に対して行われたものであるが、銃器・工具痕鑑定では、「型」が存在しないため、この問題はさらに深刻なのである。
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銃器工具痕鑑定の非科学性を主張する元FBI研究室長の宣誓供述書(48) [鑑定批判]

(20) 誤って一致と鑑定する確率 承前

 NAS報告書に対するAFTEの反応は想定されたとおりであった。その対応に対して、ある法科学・法律学者は以下のように述べている。

 (AFTEの連中は)科学界の権威であるNASが投げかけた疑問に対して、一歩も譲らずに、NASの報告書は一切受け入れらるものではないとの議論を繰り返している。例えば、パターンマッチの鑑定手法は、(すでに各種の研究によって否定されているにもかかわらず)その正当性はすでに認められており、(誤鑑定が存在しているにもかかわらず)誤鑑定率はゼロであると論じている。

 彼らの最大の誤りは、サイモン・コール(Simon Cole)博士が「指紋鑑定者の誤謬」と名付けている点にある。(もっとも、同じ議論はすでに工具痕と歯形痕の解析について様々に議論されてきた。)この議論は、経験を積んだ技量のある鑑定者は、特定の痕跡(たとえば工具痕)を見たときに、そこには他の痕跡には見られない「固有の特徴」を認識できて、その「固有の特徴」を共有している痕跡は、絶対的な確実性を持って、ともに同一のもので付けられた痕跡と結論できるというものである。NAS報告書にあるように、どの痕跡にも「固有の特徴」が存在するとの証明はなく、したがって、痕跡鑑定者が二つの痕跡が「一致している」とする結論、すなわち同一の工具に由来する痕跡であるとの結論の根拠は存在しない。それにもかかわらず、痕跡鑑定者たちは、「どの痕跡にも識別可能な固有特徴が存在するので、痕跡の識別は可能であり、したがってその結論に誤りはない」と主張し続けているのだ。

   このように、AFTEは真の科学が示す現実に目を向けていない。科学界で最も権威のある組織であるNASが2本の報告書(発射痕画像データーベース報告書と法科学の現状報告書)を発表した後になっても、もっとも尊敬を集めている法執行機関(FBIとワシントンDC警察)ですら、発射痕・工具痕鑑定の誤鑑定率が実際にはどの程度であるかを確認する研究を実施することを拒否し続けている。
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銃器工具痕鑑定の非科学性を主張する元FBI研究室長の宣誓供述書(47) [鑑定批判]

(20) 誤って一致と鑑定する確率 承前

 別の重大な誤鑑定例は偶然発見された。トロッター(Trotter)対ミズーリ州事件は、ある場所で警察官が射殺されたものである。当初捜査官は、警察官は自らの拳銃で撃たれたものと考えていた。ところが事件現場で拳銃は発見されなかったのである。その後、全く別の事件の容疑者の拳銃の試射弾丸の痕跡が、死亡した警察官から採取された現場弾丸と一致したとの鑑定結果が提出された。それからしばらくして、死亡した警察官の拳銃が結局のところ発見され、遺体から採取された弾丸はその拳銃から発射されたものと確認された。その鑑定は、前の鑑定を行った銃器工具痕鑑定者と同じ人物が行ったものであった。

 別の誤鑑定事例は、ウィリアムズ(Williams)対カーテルマン(Quarterman)事件で、ある銃器工具痕鑑定者が行った当初の鑑定で、この事件の弾丸は、ある口径0.25インチの自動装てん式拳銃で発射されたものに間違いないとの鑑定結果が提出された。ところが、その後その拳銃の所持者とは全く別の人物が所持していた口径0.22インチの自動装てん式拳銃から発射されたものであるとの結論に至ったのである。
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銃器工具痕鑑定の非科学性を主張する元FBI研究室長の宣誓供述書(46)   [鑑定批判]

(20) 誤って一致と鑑定する確率 承前

 比較的最近の出来事だが、ミシガン州デトロイト市のデトロイト市犯罪科学研究所に対して行われた監査で、違法行為ではない単なる人的ミスに基づく誤鑑定率がなんと10%にも昇るという驚くべき事実が報告された。この銃器工具痕鑑定の許容できない高い誤鑑定率を根拠に「デトロイト市の犯罪科学研究所の銃器鑑定は2008年春に停止させられた」。一つの事件の誤鑑定例を示すと、2007年5月の発砲事件で採取された42個の打ち殻薬きょうは、デトロイト市警察の鑑定では、すべて1丁の銃器に由来するものであったが、ミシガン州の研究所が後に行った鑑定では、それらは2丁の銃器に由来するものが混ざっていたのである。

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銃器工具痕鑑定の非科学性を主張する元FBI研究室長の宣誓供述書(45)  [鑑定批判]

(20) 誤って一致と鑑定する確率 承前

 ある研究によれば、鑑定技能検定試験を受験した銃器鑑定者の9.1%が明らかな誤りを犯しており、それ以外の鑑定者の中にも許容できない鑑定結果を出していた。

 ある警察官が行った誤一致鑑定についての説明には、銃器工具痕鑑定の主観的な結論に問題があることが総括的に示されている。当該事件に対する郡保安官事務所の起訴状では、ロサンゼルス警察法科学研究所の鑑定者が薬きょうと弾丸にみられる痕跡の類似性を根拠に、それらを「一致」と結論したという。ところが、別の個人鑑定者は、検察側の鑑定は、類似痕跡に必要以上の重要性を付与したことによる誤一致鑑定と主張した。結局、それらの痕跡は偶然に類似性が高かっただけで、同一銃器由来の痕跡とは結論できないとされた(実際異なった銃器による痕跡であったという)。ある個人鑑定者は、それらの痕跡は、明らかに異なる銃器に由来するものであり、一致でも何でもなくLAPDの誤鑑定である、と語った。著名な銃器鑑定者で、斯界の権威であるジョン・マードック(John Murdock)は、「銃器鑑定は法科学の中で何かと問題のある分野である。なぜなら、その結論は主観的性格のものであり、鑑定者の経験に基づいてなされるからである。長年この分野の鑑定を行ってきた鑑定者といえども、正当な経験を積んできたとは言えない者もいる」と述べている。

銃器工具痕鑑定の非科学性を主張する元FBI研究室長の宣誓供述書(44)  [鑑定批判]

(20) 誤って一致と鑑定する確率 承前

 法科学界では、誤鑑定を積極的には発見しない。ほとんどの誤鑑定は偶然に発見されている。誤鑑定はまれにしか発生しないとAFTEがいくら主張しようとも、銃器・工具痕鑑定分野における誤鑑定の存在は多くの文献に示されている。それらの文献の執筆者の中には、法科学研究所で銃器・工具痕鑑定部局の責任者であったものが含まれており、銃器工具痕分野の鑑定結果に相反するものが出てきた場合、そのどちらを採用すべきかの調整役を務めた人たちである。その内の一人は、発射痕識別分野では、「驚くほどの数の誤鑑定がある」と述べている。アメリカ法科学会(AAFS)の会員の一人が法令施行支援事業団(LEAA)の基金を得て行った研究では、24%の法科学研究所が誤鑑定を行っていたことを明らかにした。また、FBI研究所の銃器・工具痕鑑定課の元課長は、AFTEの教育セミナーで行った講演の中で、「皆さんは、重大な誤鑑定を行った仲間がいることを知っているはずだ」と話し、「誤鑑定が公にされてしまった鑑定者は、犯した誤りを忘れることは許されない」と述べている。その上でこの元課長は、口径.45インチの1911A1自動装てん式拳銃の誤一致鑑定について触れ、FBIだけが鑑定結果の真偽を判断する機関ではなことから、ここに示した誤鑑定例は氷山の一角に過ぎないだろうと述べた。
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銃器工具痕鑑定の非科学性を主張する元FBI研究室長の宣誓供述書(43)  [鑑定批判]

(20) 誤って一致と鑑定する確率

 誤鑑定率が、よく言われるような0.1%や、ほとんど0%、ましてや全くの0%ではないことを示す多くの資料がある。異なる銃器によって発射された弾丸との間でも見られるような、ごく少数の条痕が対応していることを鑑定者が重視して結論を下した場合に、この種の誤鑑定が発生することが調査資料によって明らかにされている。異なる銃器による発射痕の間で、51%もの条痕が対応することがあったという報告もあることから、この事実はうなずけるものである。その報告によれば、異なる銃器による発射痕の間で39本もの対応条痕や類似箇所があったとのことである。さらに、各々の製造工具に固有特徴があるとは限らない。誤鑑定率についていえば、現代統計学を用いれば、法科学鑑定者でも数量的分析が可能で、それを用いた判断が可能であるにも関わらず、それが行われていないと学者たちは論駁している。
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銃器工具痕鑑定の非科学性を主張する元FBI研究室長の宣誓供述書(42)  [鑑定批判]

(19) 誤鑑定の教訓が生かされない現体制 承前

 NASの委員会による法科学についての最新の研究結果によれば、「既存の法科学分析手法の中で、核DNA型鑑定のみが厳密で一貫性のある分析手法を用いており、その分析結果の確実性は高く、証拠資料と特定の個人から採取した試料との間のつながりを示すことが可能である」。

 本件で政府側が裁判所で示した証拠には、科学的根拠がない。「これ以外のすべてのものは該当しない」、「この銃以外の世界中の銃器は該当しない」、「固有の特徴がある」、「科学的に合理的な信頼性がある」、「実用上十分な確実性がある」、「誤鑑定率はほぼ0%である」、「絶対確実な手法である」、「この銃器によって発射された弾丸である」といった表現は、さも統計的な裏付けがあって、その結果として高い確実性が得られているかのような主張であるが、科学者はその根拠を認めておらず、そのような確実性の高い結論が得られたとは見なされない。かなり以前のNAS報告書に次のようにある。「発射銃器の特定の鑑定結果は、その統計的根拠を示さない場合には、統計的根拠があるかのような結論は許されない」。NASの発射痕画像検索システムに関する報告書では、「この銃以外のこの世に存在するすべての銃を除外できる」といった法廷での証言は、「痕跡が一致したというきわめて主観的な結論を、まったく根拠がないにも関わらず、極端な確率表現を用いて、あたかも誤鑑定率が0であるかのように装ったものである」と書かれている。
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銃器工具痕鑑定の非科学性を主張する元FBI研究室長の宣誓供述書(41)  [鑑定批判]

(19) 誤鑑定の教訓が生かされない現体制 承前

  現在、法科学分野で行われている鑑定技能検定試験は、法科学鑑定の誤鑑定率を求める上で全く価値のないものである、というのがこれまでの経験に基づく私の意見である。現行の鑑定技能検定は、様々な理由から問題がある。その理由の中には、(a)二重盲検法どころか盲検法すら使用されていない。したがって「一致」の結論を導く際には、ことさら注意深く検査を行うことになる。また「不明」の結論を出すことが許されていて、その結論が誤答とみなされないこと、あるいは誤鑑定率の集計から除かれている。(b)検定試験の問題となる資料は、ほとんどの場合で、現実の事件の資料よりずっと簡単な資料が用いられている。(c)時には、受験者にとって見覚えのある検査資料が試験に用いられることがある(組織内の資料を用いた試験の場合)。(d)組織内から不合格者を出すことは、その鑑定人の経歴に傷がつくのみならず鑑定組織の評判も落とすので、不合格の受験者が出たことを鑑定機関が明らかにしたがらない。(e)鑑定機関の体面を保持するための組織防衛が強い。(f)職員をかばうため、受験者が正答を出すまで、試験をやり直させることがある。(g)日々の鑑定では一人で鑑定させている業務を、技能検定の場合は複数で担当させる配慮をする。(h)誤答が出た場合、その答案を破棄してしまい、保管しない。などが挙げられる。

 銃器と工具痕鑑定の鑑定結果の検証には、統計学者と金属/材料学者を加えて行うことが適切であるということが私の信念だが、今のところ銃器工具痕鑑定者学会(AFTE)も銃器工具痕に関する科学的ワーキンググループ(SWGGUN)も、鑑定に用いられている方法論の検証に、これらの外部の学者を加えて行うつもりが全くない。事実、高名な学者を加えて行おうと呼びかけた検証研究は、警察組織の鑑定者によってすべて拒絶されてしまった。現実的な誤鑑定率を求める科学的研究は、裁判所がその数字が必要だというまでAFTEは行わないだろうというのが、私を初め、様々な学者や科学者の間で共通した意見である。工具痕の比較対照に、裁判所だけでなく高名な学者やNRC/NASが関心を持ったのは、ごく最近になってからのことである。数十年にわたって工具痕鑑定者の仲間内で認められてきた個体識別の技術が、科学界で一般に認められたものというわけにはならない。この分野で行われている痕跡を付けた工具を特定する結論は、科学的に有効と認められた手法に基づいて行われているものではなく、科学的根拠がないというのが私の意見である。
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