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トラスト(TRUST) [鑑定法]

トラスト(TRUST)

ロサンゼルス市警察(LAPD)がIBISの検索結果を迅速に利用するために、即座にその情報を捜査側にフィードバックする暫定情報。

その結論はあくまで暫定的(tentative)なものであるが、IBISが痕跡の類似性を指摘したので、それをもとに捜査してもよいのではないかとの情報をタイムリーに提供する。

なぜ、このような方策が必要であるかというと、発射痕の鑑定結果を唯一の物的証拠として、後の裁判を維持できるほどの痕跡対応は見られないが、発射痕が類似しているとの情報をもとに捜査をすることによって、その他の証拠や証言が得られれば、発射痕の鑑定書がなくても公判を維持できるようになるかもしれないことを期待してのことである。

痕跡の対応状況があまり良くない時に、公判を維持できるだけの鑑定書を作成するには時間がかかり、その余裕のないLAPDが採用した方策である。この情報を提供しなければ、捜査はまったく進展しないかもしれない。一方、捜査した結果が芳しくない場合には、痕跡が少し似ていただけだとして、それ以上の捜査を打ち切ることになる。その場合、もちろん鑑定書は作成されない。

トラスト(TRUST)は、Tentative Results Using Scientifc Technologyの略語である。
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科学的鑑定法 5 [鑑定法]

(3)  科学的手法と犯罪学 承前

5.確立された原理と矛盾する結果が得られた場合には、その原理を変更すべきか、それを放棄すべきなのかを決定すべく、さらなる研究をしなければならない。

6.科学的手法とは、分析者が意図している現象が、今まさに目の前に表れている現象であると確信が持てるまで、試験や実験の条件を注意深く制御しなければならない。

 さらに、分析者は期待に基づく先入観を常に排除する努力をしなけらばならない。先入観は、特異な結果を見落とさせることがある。

7.鑑定者は、いかなる科学も絶えず発展している過程にあるということを認識しなければならない。現在信じられていることが不完全なものであるということは、時が証明するであろう。しかしながら、現在信じられている科学的原理は、検証されている法則と知識に基づいて結論を導くことによって、現在の刑事司法システムに多大な貢献を果たしている。

8.鑑定者は、理性的であるよう十分注意すべきであるとともに、信念が強いからといって、信念の強さを前面に出してはならない。熱心さや信念の強さは、他人からは理性的でないように見え、問題を客観的に見ていないように取られてしまう。現実にはそうではないとしても、理性的な人間が、そうでないように見えてしまう振る舞いは慎まなければならない。

(この項終わり)
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科学的鑑定法 4 [鑑定法]

(3)  科学的手法と犯罪学 承前

 犯罪捜査研究所の分析者たちは、注意深い観察と実験に基づいた手法により、犯罪に関連した情報、証拠を発見し、犯罪現場で発見された物理的証拠を関連付け、それを裁判の証拠として提出する能力を持つものとする。ここで、鑑定者が科学的手法を犯罪捜査に応用する上でさらに必要となる点を以下に示す。

1.事件の証拠物件に新たな科学的手法を応用する前に、その手法を十分に調べ、研究し、検証すべきである。(詳しくは、標準手続の7-13.4項を参照のこと)

2.新たな科学的手法を使用する際に、その手法を補強する研究や検証がされていなければ、その手法が有効であると検証されている範囲内で適用すべきである。

3.鑑定者が科学的手法を利用する際に、その科学的概念の信頼性と限界を知った上で利用することについて、その鑑定者が全責任を負う。

4.仮説とは、一連の事実を暫定的に説明する予想である。仮説は、確実な検査や試験によって否定されるか、確認されるべき主張、あるいは一時的な推測と考えるべきである。

 分析者は、問題や課題に対して批判的な考え方を持つべきで、以下の能力を備えていなければならない。
(1)適切な仮説を作り上げる方法を知っていること
(2)誤った仮説を反証するために、それと関連した実験や経験に基づく観察を行う方法を知っていること
(3)誤った仮説の誤りを指摘するための、妥当な方法や、関連のある方法を熟知していること
(4)相手の誤った仮説に反論できること
(5)相手の仮説が正しいにもかかわらず、それを容認しないという行き過ぎた保守的態度をとらないこと

 仮説を基に鑑定している場合は、徹底的な試験を行い、疑わしき点が生じた場合には、仮説の妥当性を検証するために、条件を変化させたあらゆる関連実験を考えて実行しなければならない。
 分析者は、仮説に行き過ぎた執着をしてしまう誘惑を排除しなければならない。仮説と矛盾した証拠が判明した場合には、即座に仮説を客観的に検証し、仮説に手を加えるか、仮説を放棄するよう努めなければならない。
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科学的鑑定法 3 [鑑定法]

(3)  科学的手法と犯罪学

A. 犯罪学者は真に科学的精神を身に着け、探究心と向上心を持ち、論理的であり、先入観にとらわれてはならない。

B. 真の科学者は、研究対象を十分に検査し、証明に必要な十分な試験を行う。その試験は、単に結論を補強するためだけに行うものであってはならず、結果の見かけの信頼性を上げるために保証されていない試験を行ったり、必要以上の試験を行ってはならない。

C. 現代の科学的精神とはオープンなものであり、手法を隠ぺいする秘密主義と相いれるものではない。科学的分析は「秘匿された手続き」で行われてはならない。また、鑑定結果は、他の専門家に公開できないような試験や実験に基づいたものであってはならない。

D. 適切な科学的手法は、それを用いて分析した結論の信頼性を示すことができるものである。代表的でない資料や典型的でない資料、あるいは信頼性の劣る資料から結論を導いてはならない。

E. 真に科学的な手法は、一般に受け入れられていない手法や信頼性の低い手法を、分析過程に必要とするものではない。

F. 進歩的な鑑定者は、新たに開発された科学的手法を、いつも先入観を持たずに、遅れることなく取り入れるものである。このことは、いまだ試されておらず、信頼性が証明されていない手法を無批判に受け入れることを意味しない。優れた手法が紹介された場合に、それを認める能力を持っているということである。
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科学的鑑定法 2 [鑑定法]

(2)  序文

 どのような科学も、観察、研究、検証という科学的手法を経て積み上げられた法則と知識の集合である。これらの法則と知識は、科学の限界の範囲内で、さらなる分析や予想、新たな発見の解釈に応用される。ただし、科学法則や知識は不変のものではない。新たな発見がなされた結果として、それまでの法則や知識は、しばしば変更されたり放棄されることがある。

 科学的「真実」が変化するにもかかわらず、それは法科学研究所の分析において有用である。なぜならば、科学的法則や知識は、通常目にする典型的な問題の物理現象を、少なくとも十分な精度をもって予想したり記述できるからである。科学法則が絶対的な真実ではないこと、得られた結論は法則が証明されている範囲内でしか有効でないことを知った上で法則を使用する限りにおいて、その結論の信頼性は高い。一方で、結論を支持する十分な科学的なデータが存在する場合には、不明確な結論を下すことは避けるべきである。もちろん、科学的データが支持する範囲を超えた結論は慎まなければならない。条件が特異であったり、稀なものである場合には、通常と異なる結論となることを率直に認めるべきである。また、そのような特異な条件が生じる可能性がほとんどない場合には、鑑定者は結論を強く主張すべきである。
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科学的鑑定法 [鑑定法]

(1) はじめに

 法科学鑑定に用いられる技術は、犯罪捜査へ利用されながら発展してきた。鑑定結果から捜査の方向が決まり、さらなる証拠や供述が得られれば捜査は進展する。一方、鑑定結果のみで容疑者を有罪とするには、鑑定結果が裁判で証拠として認められなければならない。そのためには、鑑定結果の信頼性がきわめて高いと認定される必要があり、鑑定手法そのものに対する信頼性、個々の鑑定を行った鑑定人に対する信頼性がともに高くなければならない。新たな鑑定手法は、それなりの時間と経緯を経て証拠能力が認められてきた。

 アメリカでは、新規の科学的鑑定手法に証拠能力があるか否かを判断するフライの基準が、1923年の裁判の判決で採用された。その後この基準によって、新規の科学技術を応用した鑑定が即座に証拠として採用されることを抑制してきた。銃器関連証拠が裁判で証拠能力を認められるようになった経緯は、「銃器関連証拠の鑑定法の発展と証拠能力」や、「銃器鑑定の歴史」で紹介した。

 銃器鑑定でいえば、その初期の頃は、銃器の取り扱いに詳しい個人が銃器専門家として鑑定を行っていた。そのため、鑑定人の鑑定能力と、得られた鑑定結果に関する意見表明の資格の有無が裁判でまず吟味された。その後の鑑定技術の発展や警察組織の整備に伴い、法科学鑑定の多くは、法執行機関の内部に作られた鑑定担当部署で行われるようになった。それにしたがい、鑑定機材が整備され、鑑定手法が統一されるようになり、鑑定結果の信頼性が向上することにつながった。

 ところで、個々の鑑定を適切に処理するためには、鑑定を担当する鑑定人それぞれが自覚を持って最善を尽くす倫理観が必要である。一方、裁判で鑑定結果が採用される重要な基準の一つは、鑑定手法が「科学的」であるか否かである。古くは鑑定法が秘密の奥義のような時代もあったが、次第に具体的鑑定法の教育が熱心に行われるようになった。さらに「科学的」な鑑定法の教育の必要性が叫ばれるようになったのは1980年代以降であろう。

 ここに示すものは、畏友ジョン・マードック(John E. Murdock)が、カリフォルニア州コントラコスタ郡犯罪捜査研究所長時代の1990年2月に、研究所の職員の科学的鑑定法の指針として提示したものである。具体的な話ではなく、抽象的な議論となっているが、これだけのものを文章で示した意義は大きく、当時の状況を示す重要な資料となっている。
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刑事事件の弾丸鑑定 17 [鑑定法]

(7) その他の課題について

 局は、発砲事件の現場再現については、あまりかかわっていない。たとえば、殺人事件と自殺との区別をすることや、被害者までの射距離や射撃方向を求めるなどの質問は、我々の担当範囲外であり、この種の問題に答えようとは思っていない。この種の問題は、法医学者や解剖学者が担当すべきであろう。

 一方で、現在は答えることはできないが、将来答えられるようになるかもしれないと思っている問題もある。たとえば、銃腔の状態についてはほとんど研究がされていない。弾丸が発射されてからどのくらい時間が経過しているかを銃腔の状態から明らかにできるかもしれない。ただ、弾丸発射後の銃腔に汚れが付いたり、錆が生じたりする状態は、銃器から弾丸を発射した後、即座に銃腔の手入れを行わったか、そうでないかによって異なるだろう。

 ただ、この問題は、通常使用されているすべての種類の発射薬の未燃焼状態と燃焼状態について、詳細な顕微鏡観察を徹底して行うことによって、解決できる可能性があるものと現在研究中である。事件の経緯を明らかにする上で、この問題は最重要となるテーマである。現在までのところ、局のスタッフは、必要となる統計的データの収集を行い、研究に必要となる機材の開発に注力している。これまでに、データの収集と機材の開発はほぼ終了しており、今後それらを用いて、確実な結論を導く上で不足している点を、様々な観点やデータから明らかにすべく努力しようと思っている。

編集者メモ:著者のC.H.ゴダード少佐は、以前、大戦に従軍した正規医療隊の将校であり、少佐にまで上り詰めた。彼は陸軍医学校の優等卒業生である。  

(この項終わり)
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刑事事件の弾丸鑑定 16 [鑑定法]

(6) 局が扱う4種類の問題 承前

 問題4は、4種類の問題の中でもっとも難しいもので、解決できることはめったにない。抽筒子や蹴子が2本ある特別な構造の銃器や、特別な痕跡を残す部品のある銃器では、その他の銃器から区別することが可能で、打ち殻薬きょうに残されたその種の痕跡だけから、その特別な銃器を言い当てることができる。繰り返しになるが、自動式銃器では、抽筒子痕と蹴子痕と、閉塞壁痕の条痕との位置関係によって、打ち殻薬きょうの発射銃種を、しばしば特定のグループにまで絞り込むことが可能である。きわめて粗い閉塞壁痕は、安物の銃器によって発射されたことをうかがわせ、仕上げがいい加減な外国(スペイン)製銃器であると想像できる。ただ現在のところ、これ以上の知識はなく、またこの推定手法における技術の進歩は少ない。
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刑事事件の弾丸鑑定 15 [鑑定法]

(6) 局が扱う4種類の問題 承前

 問題3は、問題2と同様の扱いができる。現場薬きょうと同じメーカーが同じ頃に製造した実包を、容疑銃器に装てんして試射薬きょうを採取する。(原注:メーカーごとに雷管と薬きょうの金属の材質が異なることから、それらの硬度が変化するため、撃針痕や閉塞壁痕はその材質によって大きく変化する。よって、製造時期が近い同じメーカーの製品を使って試射を行うことは極めて重要である。)続いて、比較顕微鏡を用いて、現場薬きょうと試射薬きょうの痕跡を詳細に比較して、対応箇所を探す。同一銃器に由来するものであるならば、撃針痕の先端の形状が互いに対応し、撃針痕側面の傾斜部の形状や、撃針痕の底にあることの多いリング状の盛り上がりや凹みなどの細かな不規則性が互いに対応する。

 さらに、弾丸発射時に薬きょうの底面が銃器の閉塞壁面と衝突することによって、薬きょう底面に残される縦横に走る条痕は、2個の薬きょうの間で通常よく対応する。(原注:閉塞壁面は、銃腔表面と同様、一見すると滑らかであるが、完全に滑らかなことはない。事実、通常の肉眼観察でもその表面の不規則性が見て取れることが多いし、指の先で触れて感じ取ることもできる。この痕跡は通常縦横に走っているが、それは閉塞壁面がブルー仕上げされたりニッケルメッキされる前に、やすりを用いた手作業の表面仕上げがなされるからである。)自動式銃器から発射された薬きょうには、それに加えて抽筒子痕や蹴子痕が残される。(訳注:ここで抽筒子痕はmarks of ejector hookと、蹴子痕はmarks of ejector blockと書かれている。)抽筒子痕と蹴子痕の痕跡を直接合わせられなかったとしても、それらの痕跡の位置と、閉塞壁痕の条痕や撃針痕の不規則な特徴痕との位置的関係は同一となる。
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刑事事件の弾丸鑑定 14 [鑑定法]

(6) 局が扱う4種類の問題 承前

 このように銃腔表面に微細な凹凸があることは、新品の銃身でも言えることだが、銃器が人の手に渡ると、その凹凸特徴はさらに顕著となる。その程度は、銃器のオーナーが銃器とその適切な手入法に対してどの程度の知識を持っているかにもよるが、銃腔表面は確実に劣化し、凹凸の特徴は増大する。この銃腔内の細かな凹凸は、その銃腔を通過した発射弾丸表面に、それに対応した凹凸として再現される。こうして再現される条痕は、旋丘痕のエッジに並行で、弾丸の長手方向の平行条痕となる。そのうちの多くは肉眼でも確認できるが、比較顕微鏡の中程度の拡大倍率で観察すると、さらに多くの条痕が見えてくる。

 当然のことながら、同一の銃器から発射された弾丸の互いに対応すべき旋丘痕と旋底痕には、同一の条痕が認められる。そこで、現場弾丸と試射弾丸とが同一メーカーの同一モデルの銃器から発射された弾丸であると確定できたならば、次のステップはそれらが同一の銃器による発射弾丸であるか否かを調べることになる。そのためには、現場弾丸と試射弾丸のいずれかを、特定の旋丘痕あるいは旋底痕に固定しておき、もう一方の弾丸を顕微鏡の下で回転させ、各旋丘痕あるいは旋底痕の条痕が完全に対応するか否かを逐次確認して行く。図Ⅵaは、条痕が一致した旋丘痕の例を、図Ⅵbは条痕を合わせられなかった旋丘痕の例を示している。

 2個の弾丸の間で対応する旋丘痕あるいは旋底痕の対を発見できた場合には、左右の弾丸を同時に回転させながら、弾丸表面に残されているすべての旋丘痕と旋底痕の間で、条痕の流れを対応させることができるか否か確認する。一方で、一致箇所を全然発見できなかった場合で、現場弾丸の状態も良好で、発砲のあった日から試射弾丸を採取した日までの間に銃腔の状態に大きな変化がなかったものと想定される場合には、現場弾丸と試射弾丸とは異なる銃腔を通過したものと結論しても間違いない。したがって、容疑銃器は白となる。
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