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線条痕の山 [痕跡]

線条痕の山(せんじょうこんのやま)

線条痕の山の部分。線条痕の尾根ともいう。
工具の擦過によって加工品に生じた筋状の工具痕の中で、工具先端の凹んだ部分に擦られて生じる溝の尾根の部分。

線条痕の谷の部分より山の部分の方が、加工品の材質の違いによる痕跡形状(高さ)の変化が大きい。硬い材料は、それより硬い工具の突起によって凹む性質は柔らかい材料と同じだが、工具の溝の空間に食い込む性質は弱いことがその理由と考えられる。
客観的な数字を挙げやすい例として、発射弾丸に残される腔旋痕の弾丸の材質による相違で説明する。銃腔に刻まれた腔旋痕の旋丘と旋底の段差は約100μmであるが、鉛弾丸の旋丘痕と旋底痕の段差はほぼ100μmとなる。一方被甲弾丸では、その段差は40~60μmにしかならない。鉛弾丸と被甲弾丸の間で、旋丘痕と旋底痕との境界(エッジ)近傍の旋丘痕側の形状差はそれほど大きくない。一方、旋丘痕のエッジの外側の旋底痕部分の形状は、鉛弾丸の場合には銃腔の旋底に急な角度で潜り込む(倣っている)が、被甲弾丸では旋底の溝への倣い角度は緩やかであり、旋丘痕のエッジ部外側の形状には差があり、それが段差の相違となって現れる。
線条痕にもこの現象が生じ、鉛弾丸の線条痕ではミミズバレのように盛り上がった形状の痕跡を目にすることがあるが、被甲弾丸にそのような盛り上がり線条痕を見ることは稀である。
軟らかい材料では尾根を感じるが、硬い材料では谷でない部分が尾根と考える。極端な例としてガラス表面の傷があり、ガラス表面には溝、すなわち谷は感じても山を感じることはほとんどない。

英語ではRidgeあるいはRidge of Striationである。Peakが使われることもある。


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線条痕の谷 [痕跡]

線条痕の谷(せんじょうこんのたに)

線条痕の谷の部分。
工具が擦過した際に加工品に生じた工具痕の中で、工具先端の周辺より隆起した部分に擦られて生じる筋状の溝の底の部分。
線条痕の3次元形状を測定した場合に得られる断面形状波形で、どこからどこまでを谷にするかによって、「同一工具痕」の結論に影響が生じる。山と山の間をすべて谷とすると、線条痕全体が谷の領域となってしまう。痕跡の比較を行うためには、谷の領域を少なくとも全体の半分以下に抑えた方が良い結果が得られる。15年以上前に行った実験では、谷の部分の合計幅を線条痕の全体幅の30%程度にして比較するとよい結果が得られた。谷の底から、谷の両側にある山の低い方の頂上までの段差の1/2~1/3の高さでカットした領域を谷の部分とする方法である。
明暗の画像を用いた場合は、黒白の2値化画像の暗部を若干細くしたものを利用すると良い結果が得られた。
同一工具による連続した加工痕跡では、このようにして定めた谷の位置の変動は、線条痕の深さ方向の形状(三次元形状)変動よりはるかに小さく、その再現性は高い。また、三次元形状はデータ採取位置による変動の影響も受け易い。

英語ではValleyあるいはValley of striationである。


線条痕本数 [痕跡]

線条痕本数(せんじょうこんほんすう)

比較対照している工具痕内にある線条痕の本数。
複数の線条痕が同一の工具による加工痕跡であるか否かの結論に何らかの客観性を持たせるためには、数量的な基準の導入が必要と考えられてきた。そのような基準を策定するためには、対応条痕の本数を数えることが必要であると考えることはごく自然である。対応条痕の本数を数えるためには、条痕の本数に関する定義が必要となる。このような考え方から、線条痕は山谷が交互に並んだ痕跡と考えられることから、そのうちの山の部分、あるいは谷の部分を数えて線条痕の本数とすることが古くから行われてきた。
線条痕に直角方向から斜光線照明を当てると、線条痕は明暗の縞模様となって観察できる。縞の明部は照明方向を向いた斜面、暗部は照明方向に背を向けた斜面である。ただ人間の錯覚から、明部が尾根のように見え、暗部が谷のように見える。線条痕を撮影した顕微鏡写真からは、このような錯覚が生じて山谷の立体構造の把握が難しいこともあるが、顕微鏡下で工具痕を動かしながら観察すれば、線条痕の凹凸は把握できる。
ところが、顕微鏡で観察しながら対応条痕の本数を数えることは、きわめて大きな負担のかかる作業で、継続的に実施するには現実的ではない。そこで、対応条痕を数える作業は、顕微鏡写真を撮影してから行うことが普通であった。このように、写真上で観察あるいは計数することを二次元観察という。
米国では線条痕の二次元観察を行う場合には、明暗の縞模様のうち、明部を数えるものと規定されている。
一方、工具痕の三次元計測を行うと、容易に山谷の形状が得られるが、複雑な断面形状の測定結果を前にすると、どこを山と考え、どこを谷とするかは難しいく、そのような置き換えをすることで失うデーター量も多い。そこで、三次元計測をした場合には、その測定波形を直接処理することが普通で、線条痕の本数の概念は表に出てこない。

英語では、二次元観察を行っている場合にはNumber of Linesが、三次元形状を考慮している場合にはNumber of Striationが使用されている。


一致条痕 [痕跡]

一致条痕(いっちじょうこん)

二つの線条痕を機械的に比較したとき、それらの痕跡の中で場所(基準点の位置からの距離)と形状が対応する個々の条痕。
1組の線条痕を比較対照した場合でも、場所や形状の同一性をどこまで厳密に区別するかで、一致条痕数は一般に異なる。
特に、形状の同一性を二次元的に判断する場合(線条痕の位置と幅が対応しているものを一致とカウントする)と、三次元的に判断する場合(線条痕の位置と幅だけでなく、その深さや高さが対応しているものを一致とカウントする)とでは、一致条痕数はかなり異なる。
線条痕は山谷が交互に並んだ痕跡と考え、そのうちの山の部分(二次元的比較では明部)、あるいは谷の部分(二次元的比較では暗部)の位置と幅が一致する痕跡を数えることが以前から行われていた。測定機器の進歩により、線条痕の三次元形状の測定が容易になってきているが、同一工具によって加工された場合でも、加工品の材質が異なると線条痕の深さは一般的に異なり、三次元形状を単純に比較しても、加工工具の識別精度が向上するとは限らない。

線条痕の1本1本の条痕の対応関係をいう用語であり、「一致」、「同一工具痕」という比較結果の結論を示す用語とは異なるものである。字面が類似しているため、結論に用いられる用語との間で混乱が生じるが、これ以外に適切な用語は思い浮かばない。

英語では、Matching StriationあるいはMatching Striaeである。


特徴痕 [痕跡]

特徴痕(とくちょうこん)

固有特徴とほぼ同意で、複数の工具痕が同一の工具に由来するとの結論を導く上で、その根拠となる対応痕跡。
いかなる工具痕も、それを加工した工具に固有な痕跡であることに間違いない。ただ、同一の工具によって加工された複数の工具痕を、同一工具由来と結論するためには、それらの工具痕に共通した何らかの痕跡を特定する必要がある。複数の工具痕に共通した痕跡が、すなわち特徴痕となる。つまり、工具痕のうち、再現性のある部分が特徴痕なのである。
線条痕あるいは擦過痕の場合は、単独の工具痕を見ても何が特徴痕であるかは自明ではない。ただし、深さのある線条痕の再現性は一般的に高いことから、深さのある線条痕を特徴痕として大きな間違いはない。ただし、深さのある線条痕は準型式特徴である可能性があることから、比較対照作業では浅い痕跡も含めた総合判断を行う。
圧痕の場合には、痕跡全体の中に幾何学形状に置き換えられる部分を探し、孤立点、線分、曲線、閉曲線、閉曲面などに単純化し、単純化された図形の組み合わせを特徴痕と考える手法が提案されている。


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擬似固有特徴 [痕跡]

擬似固有特徴(ぎじこゆうとくちょう)

準型式特徴と同意であり、この特徴が固有特徴と見間違う可能性のある痕跡であることに注意を促す名付けをしたのがこの用語である。
同一工具によって連続加工された工具の表面に、設計図面に指定されてはいないが、複製される形状特徴。このような特徴痕跡が存在すると、連続製造された異なる工具によって製造された製品に、同一工具によって製造されたものと誤解させるような工具痕を残すことがある。

英語ではSubclass Characteristicsである。


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準型式特徴 [痕跡]

準型式特徴(じゅんかたしきとくちょう)

同一工具によって加工された物体表面に、設計図面に指定されてはいないが、複製される形状特徴。工具の特徴を示す痕跡、あるいは工具の特徴を直接反映した痕跡であるが、その特徴を共有する工具があることから固有特徴とはならない。
設計図面に指定されていない形状特徴であることから、一般に微細な特徴であり、その深さや線条痕の間隔は固有特徴として通常扱われる形状と同等のものである。
準型式特徴は、一般的に型式特徴ほど再現性が高くはないが、固有特徴よりは変化しにくい特徴である。

英語ではSubclass characteristicsである。


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偶発特徴 [痕跡]

偶発特徴(ぐうはつとくちょう)

固有特徴と同意で、以前使われていた用語。
工具あるいは工具痕の固有特徴は、工具の製造、輸送、使用、誤用、手入れや修理、保管の過程に発生する偶発的な要因によって生じるものであり、管理できない要因により発生するものであることから、以前はその生成要因に着目して固有特徴のことを偶発特徴と呼んでいた。
痕跡の性格や用途に着目した用語が固有特徴であり、痕跡の成因に着目した用語が偶発特徴といえる。
偶発特徴といっても、再現性の低い痕跡、あるいは安定性のない痕跡を意味する用語ではない。

英語ではAccidental Characteristicsである。


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固有特徴 [痕跡]

固有特徴(こゆうとくちょう)

工具の形状特徴のうち、工具の製造時にその形状や寸法を管理できない微細な特徴。工具が製造された後、その輸送、使用、誤用、手入れや修理、保管の過程で生じた形状変化に基づく特徴。その形状変化には、破損や腐食による変化も含まれる。同一型式の異なる工具によって付けられた工具痕の間で、使用された工具の違いを識別できる形状特徴。
工具の固有特徴は、ある時点での形状特徴であり、時間の経過とともに常に変化し、不変なものではない。同一型式の2本の工具の間に、それを識別できる固有特徴があったとしても、それら2本の工具を使用して付けられた工具痕に、使用された工具を識別可能な特徴が常に残されるとは限らない。

英語ではIndividual characteristicsである。


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分類特徴 [痕跡]

分類特徴(ぶんるいとくちょう)

工具痕の異同識別に際し、異なる工具によって付けられた痕跡として対照候補から安全に除外するために用いられる特徴。「分類特徴が異なる。」ということは、「異なる工具によって付けられた工具痕である。」と同意として扱われる。Class characteristicsの初期の訳語。
Class characteristicは、痕跡を分類するする上で利用はできるが、その定義は「工具の製造図面に指定されている特徴」とされるようになり、分類特徴の訳語は適切ではなくなった。
痕跡の深さは工具痕の特徴の一つであるが、一般的に工具痕の分類特徴にはならない。同一の工具を使用しても、軟らかい材料に強く押し付ければ深い痕跡が残され、硬い材料に弱く押し付ければ浅い痕跡が残される。このように工具痕を、その深さで分類すると、使用工具を正しく識別できないことがあることから、工具痕の深さは分類特徴とはならない。
先端が平坦な工具を押し付けた場合にできる凹痕では、その先端の平坦部の面積によって工具痕を適切に分類できる場合が多く、これは分類特徴となり得る。このような工具では、その先端の形状は設計図面に指定されているはずであり、図面の寸法は型式特徴である。その工具の先端が欠けて、設計図面の値と異なる形状となっている場合には、その工具先端には固有特徴があることになる。


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