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銃器工具痕鑑定の非科学性を主張する元FBI研究室長の宣誓供述書(42)  [鑑定批判]

(19) 誤鑑定の教訓が生かされない現体制 承前

 NASの委員会による法科学についての最新の研究結果によれば、「既存の法科学分析手法の中で、核DNA型鑑定のみが厳密で一貫性のある分析手法を用いており、その分析結果の確実性は高く、証拠資料と特定の個人から採取した試料との間のつながりを示すことが可能である」。

 本件で政府側が裁判所で示した証拠には、科学的根拠がない。「これ以外のすべてのものは該当しない」、「この銃以外の世界中の銃器は該当しない」、「固有の特徴がある」、「科学的に合理的な信頼性がある」、「実用上十分な確実性がある」、「誤鑑定率はほぼ0%である」、「絶対確実な手法である」、「この銃器によって発射された弾丸である」といった表現は、さも統計的な裏付けがあって、その結果として高い確実性が得られているかのような主張であるが、科学者はその根拠を認めておらず、そのような確実性の高い結論が得られたとは見なされない。かなり以前のNAS報告書に次のようにある。「発射銃器の特定の鑑定結果は、その統計的根拠を示さない場合には、統計的根拠があるかのような結論は許されない」。NASの発射痕画像検索システムに関する報告書では、「この銃以外のこの世に存在するすべての銃を除外できる」といった法廷での証言は、「痕跡が一致したというきわめて主観的な結論を、まったく根拠がないにも関わらず、極端な確率表現を用いて、あたかも誤鑑定率が0であるかのように装ったものである」と書かれている。
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銃器工具痕鑑定の非科学性を主張する元FBI研究室長の宣誓供述書(41)  [鑑定批判]

(19) 誤鑑定の教訓が生かされない現体制 承前

  現在、法科学分野で行われている鑑定技能検定試験は、法科学鑑定の誤鑑定率を求める上で全く価値のないものである、というのがこれまでの経験に基づく私の意見である。現行の鑑定技能検定は、様々な理由から問題がある。その理由の中には、(a)二重盲検法どころか盲検法すら使用されていない。したがって「一致」の結論を導く際には、ことさら注意深く検査を行うことになる。また「不明」の結論を出すことが許されていて、その結論が誤答とみなされないこと、あるいは誤鑑定率の集計から除かれている。(b)検定試験の問題となる資料は、ほとんどの場合で、現実の事件の資料よりずっと簡単な資料が用いられている。(c)時には、受験者にとって見覚えのある検査資料が試験に用いられることがある(組織内の資料を用いた試験の場合)。(d)組織内から不合格者を出すことは、その鑑定人の経歴に傷がつくのみならず鑑定組織の評判も落とすので、不合格の受験者が出たことを鑑定機関が明らかにしたがらない。(e)鑑定機関の体面を保持するための組織防衛が強い。(f)職員をかばうため、受験者が正答を出すまで、試験をやり直させることがある。(g)日々の鑑定では一人で鑑定させている業務を、技能検定の場合は複数で担当させる配慮をする。(h)誤答が出た場合、その答案を破棄してしまい、保管しない。などが挙げられる。

 銃器と工具痕鑑定の鑑定結果の検証には、統計学者と金属/材料学者を加えて行うことが適切であるということが私の信念だが、今のところ銃器工具痕鑑定者学会(AFTE)も銃器工具痕に関する科学的ワーキンググループ(SWGGUN)も、鑑定に用いられている方法論の検証に、これらの外部の学者を加えて行うつもりが全くない。事実、高名な学者を加えて行おうと呼びかけた検証研究は、警察組織の鑑定者によってすべて拒絶されてしまった。現実的な誤鑑定率を求める科学的研究は、裁判所がその数字が必要だというまでAFTEは行わないだろうというのが、私を初め、様々な学者や科学者の間で共通した意見である。工具痕の比較対照に、裁判所だけでなく高名な学者やNRC/NASが関心を持ったのは、ごく最近になってからのことである。数十年にわたって工具痕鑑定者の仲間内で認められてきた個体識別の技術が、科学界で一般に認められたものというわけにはならない。この分野で行われている痕跡を付けた工具を特定する結論は、科学的に有効と認められた手法に基づいて行われているものではなく、科学的根拠がないというのが私の意見である。
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銃器工具痕鑑定の非科学性を主張する元FBI研究室長の宣誓供述書(40)  [鑑定批判]

(19) 誤鑑定の教訓が生かされない現体制 承前

 過去の鑑定や裁判例がフィードバックされない理由の一つは、個々の事件における証拠の正確性を決定する総合的で意味のある研究がなされていないことで、一般的な誤鑑定率すらわからないことにある。銃器がかかわる事件の多くは、犯人と被害者との距離が離れていることから、(強姦などの接触犯罪と比較して)犯人から被害者へのDNAの付着が生じにくい。したがって、科学的に正確性が確認されているDNA型証拠と比較することで、証拠の正確性を確認することができない。第二の理由として、司法制度そのものが、誤った鑑定を発見しにくくするシステムとなっていることが挙げられる。個体識別の鑑定結果が誤りであることは、まったくの偶然に発見される以外、発見される手立ては存在しない。工具痕鑑定で、その鑑定結果が誤りであることを検証する別の鑑定法は存在しない。鑑定人が行う個体識別の手続きを科学的に信頼できる手法で検証することができないことから、誤鑑定率が低いという主張には根拠がない。

 様々な検査手法や検査手続きを混同して分析していたのでは、「鑑定技能検定」とか「有効性の確認研究」といわれるものも、誤った手法で行われ、あるいは誤った結論が導かれている。法科学鑑定で行われる「鑑定技能検定」は、特定の鑑定人の鑑定作業の正確性と信頼性を決定することができるに過ぎない。「有効性の確認研究」を行うには、実施する検査に用いられる仮定や理論が正しいのか誤っているのかを見極めることのできような、科学的手法に基づいた科学的方法論を厳格に適用することが求められる。種々の検査法や研究テーマの後ろに「有効性の確認研究」という表題を付けたからといって、そのような研究が行われたことを意味しない。
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銃器工具痕鑑定の非科学性を主張する元FBI研究室長の宣誓供述書(39) [鑑定批判]

(19) 誤鑑定の教訓が生かされない現体制 承前


 法廷は鑑定室ではありえず、「時間をかければ明らかにできる」として行われる、工具痕鑑定の証言の妥当性とその結論の受容性について時間をかけて尋問をおこなっても、実際の鑑定の有効性を検証したり誤鑑定率を明らかにすることはできない。情報源が一方的であり、鑑定人の証言の正当性を検証する方法が存在しないからである。NASの最新の委員会報告書には、以下のような記述がある。

 「鑑定人が裁判に出廷すれば、その証言は法廷で同業者が厳密に検証し、弁護人から詳細な尋問を受けることから、その真偽は常に検証可能であると法科学界では長年みなされてきた。法科学者は、時として職場で誤鑑定を犯すであろう。ただ、法廷における厳しい反対尋問に晒されることで、その誤りは明らかにされると考えられてきたのである。ところが、この厳しいとされる反対尋問は、まったく不十分なものに過ぎない。

 双方の力がバランスしている民事裁判とは異なり、刑事裁判での被告側の反対尋問はおざなりなことが多い。法科学の中で鑑定手法の根拠が最も希薄な毛髪の顕微鏡観察、歯形痕の識別、筆跡鑑定ですら、法廷で反撃されることはあってもる、その特定の事件での証言の事実検証が法廷で行われずに、以前から認められていた鑑定手法であることを根拠に、その鑑定を受容できるものと裁判所は認めてしまうのである。弁護士も、適切な証人を立てたり、新たなデーターを提出することができずに終わることが多い。弁護側がドーバート基準による異議申し立てをしようにも、必要とされる知識や技量を欠いており、またそれを行う経済的裏付けもないことから、異議申し立てをあきらめざるを得ないのである。

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