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ライカ FS M型比較顕微鏡 [顕微鏡]

米国バッファローで、ライカのFS M型比較顕微鏡を操作する機会に恵まれた。その正式名称は、手動操作比較マクロ顕微鏡ライカFS M(Manual Forensic Comparison Macroscope Leica FS M)である。FS C型比較顕微鏡が、載物台の上下動を自動化し、共焦点顕微鏡の機能を持たせるとともに、ステージのX-Y方向の動きも電動化され、その動きは極めて滑らかで扱いやすいものであった。FS C型比較顕微鏡のこのような機能は、頻繁に使用するユーザーにとっては極めてありがたいものであるが、製品価格は高くなってしまい、フォレンシックテクノロジーの傘下に入ったプロジェクティーナのUCM型との価格競争力を失う結果となった。そこでライカが投入したのがFS M型比較マクロ顕微鏡である。Mはマニュアルを意味する。発射痕、工具痕観察用に適した倍率や視野を備えた比較顕微鏡となっている。

FS M型の発射痕鑑定用載物台は、DM C型のものとほとんど同じものであり、DM C型を使用してきたユーザーは、違和感なく移行できるであろう。比較ブリッジはFS C型のものとは異なり、新たに開発されたものであるが、そのデザインはDM C型のブリッジとFS C型のブリッジの中間型のように感じた。レヴォルバーにより最大6本の対物レンズを回転させて交換使用できる。左側の載物台の像が比較境界線の左側に見え、右側の載物台の像が比較境界線の右側に、それぞれ正立正像として観察できることは他のFS型比較顕微鏡と同様である。比較ブリッジにあるノブを操作することで、左右の比較像、左側の全画面像、右側の全画面像、重ね合わせ像に切り替えることができる。また、比較像観察時に、比較境界線の位置の移動も、もちろん可能である。比較境界線の幅とその傾きの調整も可能である。

テレセントリックの対物レンズにより、高コントラストの像が得られる。対物レンズは0.33X、0.4X、1X、2X、4X、8Xの中から選択できる。0.33Xの対物レンズのワーキングディスタンスが100mm、8Xの対物レンズのワーキングディスタンスが48mmであることを除くと、その他の対物レンズのワーキングディスタンスは60mmで、レンズ交換をしても焦点調整はほとんど不要とされている。1Xの対物レンズを使用した時の視野は22mmであり、12番の散弾薬きょうの底面全体を観察するのに適している。8Xの対物レンズを用いた時の視野は2.75mmで、発射痕、工具痕観察の最大倍率として十分である。

顕微鏡正面中央部にあるシーソースイッチによって、比較ブリッジを電動で上下する機能はDM C型から引き継がれている。載物台の移動は、DM C型と同様の、同軸の2ノブにより、X方向とY方向を手動で操作するものである。載物台の上下による焦点調整も、DM C型と同様の同軸ノブにより、粗動と微動による調整が可能である。DM C型ステージと異なる点は、FS C型に自動で装備された左右の載物台を同期して移動する機能をマニュアル操作で可能とした点で、X方向の移動のみ同期される。また、オプションのデジタルノギスを付けることで、載物台のX方向の移動量を計測可能である。

物件の保持具は、これまでのライカの比較顕微鏡で用いられていたものと同様のものが提供されている。もちろん、これらはオプションであるが、発射痕、工具痕観察用には、これらのオプションを付けないときわめて不便となる。

照明は従来のファイバー照明に加え、寿命が長い小型のLED光源、対物レンズの先端に取り付けるLEDによるリング照明、蛍光灯照明などが利用できる。この中ではLED照明が、光源部分が小型であることから取り回しの自由度が高く便利であった。毎日8時間使用すると、ファイバー照明の光源寿命が短く、ランプの消耗品代が高額となってしまうが、LED照明でこの問題も解消できる。

FS C型にある、ボタンを押すと拡大倍率が1.5倍になる機能は備えていない。鏡筒内に倍率変換レンズを入れることができ、2倍のものを利用すると、最大視野が1.37mmになるといい、発射痕、工具痕観察用としては、極めて高い総合倍率160Xで観察できるそうだ。

このように、これまでDM C型比較顕微鏡を使用してきたユーザーが、違和感なくすぐに移行可能な比較顕微鏡である。
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NIST標準弾丸SRM2460のポリマー複製品 [測定資機材]

米国NISTの標準弾丸2460(SRM2460)は、発射弾丸に残される発射痕を観察測定する機材を校正する際の標準器として使用されている。ところが、その価格は現在2020ドルとなっており、極めて高価である。その価格が高いことから、発射痕の鑑定を行っている実務機関の大半はSRM2460を購入していない。また、大量生産には向かず、現在販売可能な残数は4個のみという。そこで、SRM2460の低廉な代替品を模索していたNISTは、ドイツのBundeskriminalamt(BKA)が保有するポリマー複製品製造技術の導入を検討し、2011年にその技術の導入で話し合いがまとまった。NISTはBKAの技術を利用しながらも、複製品に使用するポリマー材料を、アメリカ国内で容易に入手できる材料に変更し、新しい技術として完成させた。

BKAの技術の基本は真空キャスティングで、ポリマー材料に発生する気泡を気圧を下げて抜くことで、複製品表面に発生する気泡による凹凸を除去するものである。NISTの複製品製造の概要は、SRM2460をシリコンで満たした円筒容器に漬け、雌型を製造する。この際も真空に引くことで気泡を徹底除去する。雌型からSRM2460を引き抜き、雌型にポリウレタンを注ぎ込んで雄型を製造する。この技術で製造されたSRM2460の複製品には、SRM2460の形状を測定した触針式表面形状測定器による触針の痕跡まで正しく形状が複製されており、発射痕の測定機材の校正目的に十分利用できるものと結論された。

SRM2460の複製品の価格がSRM2460からどの程度安くなるかはまだ確定していないという。薬きょうの場合の価格が375ドルから425ドルの間になるという。弾丸の場合はこれより高く、500ドルが一つの目安だという。

この技術は、一般の痕跡のレプリカの作成にも利用できる。現場弾丸と現場薬きょうのレプリカを作成し、現在痕跡画像でのみデータを共有している遠隔機関との間の痕跡データの共有が、痕跡のレプリカで行うことの目途が付いたという。
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