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銃器工具痕鑑定の非科学性を主張する元FBI研究室長の宣誓供述書(36) [鑑定批判]

(18) 鑑定者の結論の偏り 承前

 法科学鑑定者が陥りやすい別の偏りに、状況に依存した偏りがある。その例は、平均して16年の鑑定実務経験を積んだベテラン指紋鑑定者を対象とした研究に示されている。その研究では、被験者に対して、すでに鑑定を行ったことのある指紋をブラインド試験の形で改めて検査させたものである。その際、被験者に対して客観的判断を揺るがせるような架空の事件情報を資料とともに示した。被験者は、そのような事件情報は一切無視して、指紋にのみ集中して鑑定を行うように指示された。ところがこの研究結果では、80%の再鑑定結果が架空の事件情報の影響を受け、以前行った鑑定とは異なる結論となった。

 このドロール(Dror)の行った研究のもう一つの結論は、過去の鑑定と一貫した結論をすべての場合で導いたのは、受験者のわずか1/3であったということである。パターン認識の観点から、指紋の隆線の特徴は7種類に分類できて、その幾何形状は、意味のない線条痕の組み合わせである工具痕と比較して単純でかつ記憶しやすいものである。ドロールの研究の研究者たちは、事件情報を与えずに再検査しても、指紋の特徴点に挙げる箇所が異なっていたことを指摘している。(工具痕や指紋の比較において)少なくとも主観的な評価が行われていることが推定でき、事件情報が与えられなくても、時間を置いて行う鑑定の結果と以前に行った鑑定の結果とが一致しないことが示された、と結論している。
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銃器工具痕鑑定の非科学性を主張する元FBI研究室長の宣誓供述書(35) [鑑定批判]

(18) 鑑定者の結論の偏り

 鑑定手法が完成したように見える現在でも、鑑定者の結論には種々の偏りが含まれている。偏りとは、客観的あるいは平等であるべき判断に、特定の見方が影響を与えてしまうことである。鑑定に際する偏りの一つに、期待に伴う偏りがある。弾丸や薬きょうに付けられた工具痕の比較資料として、大半の事件で容疑銃器は1丁しか提出されない。鑑定者がそれらの痕跡を調べて、ひとたび「一致」の結論を出してしまうと、それ以外の銃器の痕跡を調べようとはしないだろう。今調べた銃より、もっと類似した痕跡を付ける銃器があるかもしれないのに、である。このような検査法は、何人かの人物を並べて、その中に犯人がいるかどうかを目撃者に調べさせる際に、目撃者に容疑者を一人だけしか見せずに判断を迫るようなものである。鑑定者は、捜査員が持ってきた銃器は、「間違いないもの」であり、捜査員は、ただそのことを確認してもらいたいだけなのだ、と期待するようになる。事実私が調べた多くの事件で、「ヴィンセント・マッコイが逮捕されたことで、この事件は解決した」、といったようなコメント付きで資料が提示されていた。捜査員が「真犯人」を挙げているのだから、鑑定資料でそれを確認していほしいだけでなのだ、と鑑定者に信じ込ませるような状況が作られていた。鑑定資料を法科学研究所に提出する手続きも、法科学研究所がその資料を受理する手続きも、鑑定結果が肯定的になることを期待させる偏りに満ちたものとなっている。さらに付け加えると、銃器工具痕鑑定の現実のエラーレイトが小さなものとなっている最大の要因は、警察の捜査がほとんどの場合で的確であることにある。
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銃器工具痕鑑定の非科学性を主張する元FBI研究室長の宣誓供述書(34) [鑑定批判]

 (17) きわめて類似性の高い痕跡の近隣地域での出現

  個々の工具が、それ固有の痕跡を残すという固有性の仮定は科学的に確立されておらず、この固有性の仮定は科学界と法科学界から誤りとされている。また、同時期に製造された製品がどのような地域に流通しているかについて信頼できるデーターもない。製造された銃器が米国内に均一に分布するように販売されることはありそうにない。そうではなく、鉛弾丸の研究者が明らかにしたように、同時期に同様な製造手法で製造された銃器は、特定の地域に固まって流通するのではなかろうか。弾丸や薬きょうに付けられる発射痕の一致状況を評価する上で、特定の型式の銃器の販路を考慮する必要がある。さらには口径が同一の類似した型式の銃器が特定の地域にどれだけあるかも考慮する必要があるだろう。銃器・工具痕鑑定者は、類似痕跡から、それらの痕跡が同一物に由来するものと結論した場合に、その結論の確率的価値を明らかにしたことはなく、その確率を考慮したことすらない。文献を徹底的に調査したところ、その確率的価値を求める上で、銃器の販路を調べたものは一切なかった。彼らがそのようなことを調べない理由は、それぞれの銃器が固有の痕跡を(弾丸や薬きょうに)残すという検証されていない仮定を信じ切っているからであろう。 鉛弾丸の成分分析の鑑定をしてきた人たちも、ほぼ40年間にわたって、鉛弾丸の成分の固有性を信じ切っていた。それは最近の研究によって有効な仮定ではなく、鑑定結果は誤解を招くものであり、法科学的に意味をなさないことが明らかとなったが、それまで彼らはそう信じていたのである。
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銃器工具痕鑑定の非科学性を主張する元FBI研究室長の宣誓供述書(33) [鑑定批判]

(16) 偶然に一致する確率:全米科学アカデミーの見解

 すでに述べたように、NRCのバリスティック・イメージング報告書では、工具痕に固有性があるという仮定は科学的に証明されていないと述べられている。報告書ではさらに、「最新の技術を使用するようになって、さらに訓練や経験が集積したとしても、工具痕鑑定者が論理的でない基準に基づいた主観的な判断を行っているという現状に変化は生じないないだろうし、鑑定のエラーレイトの統計的推定値も明らかにならないだろう」と述べている。繰り返しとなるが、「工具痕の固有性を確率的に定量化するためには、相当多くの研究を行う必要がある」とも述べられている。工具痕の固有性が科学的に確立され、あるいは認められたとしても、工具痕の由来物を特定した結論の確からしさの確率統計的評価を行う次のステップが残されている。そこでは、偶然に痕跡が「一致する」確率が推定できなければならない。その解析には、次のような2ステップが必要となる。:(1)その鑑定結果が、二つの工具痕が共通のものに由来する場合に得られる確率の推定(反復性の推定)、(2)その鑑定結果が、二つの工具痕が異なるものに由来する場合に得られる確率の推定(固有性の推定)。これら2つの問題に対する有効な回答なしでは、鑑定結果の確実性を明らかにすることはできない。AFTEの文献には、これらの問題に対する回答を示したものは存在しない。銃器鑑定者は、「一致」結論の確実性の証明なしに、絶対的に正しい結論であるとの主張を続けている。リベラ(Rivera)による偶然の発見によって、同じ会社が製造した同一口径の異なる銃器で、容疑者が購入した地域と近い場所に出荷された銃器の中には、容疑者の銃器の痕跡ときわめて類似性の高い痕跡を残すものがあることが明らかとなっている。現在では使用されなくなった鑑定法である鉛弾丸の成分分析法(CBLA)を我々が研究した際に、「地理的クラスター」と呼ばれる出荷地域による類似性の出現は、論理的にも確認され、経験的にも驚くほど高い出現率であった。
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銃器工具痕鑑定の非科学性を主張する元FBI研究室長の宣誓供述書(32) [鑑定批判]

 (15) 固有痕比較の信頼性

 本件の鑑定で痕跡の固有性の根拠とされたものは、(私が見ることのできた鑑定メモから判断すると)弾丸と薬きょうを検査して、撃針痕、閉塞壁痕、抽筒子痕と、あるいは蹴子痕を組み合わせた痕跡の類似性であろう。ところが、これらの痕跡は準型式特徴が現れやすく、信頼性の低い痕跡であるというのが工具痕鑑定者の間での一致した見解となっている。この点については、以下に説明する。高名な工具痕研究家が「準型式特徴を言い当てることが難しいことが、これまでほとんど議論されてこなかった。」と述べている。

 撃針痕、蹴子痕、抽筒子痕と閉塞壁痕が痕跡の出所の結論をする際の根拠として弱い理由は以下に挙げるものである。
 ●撃針、蹴子と抽筒子を製造する際に、それらの狭い表面に付けられる特徴はごくわずかな量に過ぎない。
 ●銃器の耐用年数の間で再現性の良好な痕跡と一般的に考えられているものに、閉塞壁痕、蹴子痕、抽筒子痕があるが、銃器の閉塞壁面と薬きょう底面の間に作用する力は圧縮力であり、蹴子痕や抽筒子痕と薬きょうとの間に作用する力も圧縮力である。
 ●閉塞壁面、抽筒子と蹴子の製造加工法は、準型式特徴が現れやすい手法である。
 ●撃針痕の製造手法も限られたものしかない。

 著名な工具痕鑑定家は、論文の一つで「旋盤で加工された撃針痕に残される同心円状の工具痕は、複数の撃針の間できわめて類似性が高かった。したがって、銃器工具痕鑑定者は、発射銃器の特定を行う場合に、その種の痕跡に頼ることができないことに注意されたい」と述べている。

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銃器工具痕鑑定の非科学性を主張する元FBI研究室長の宣誓供述書(31) [鑑定批判]

  (13) 銃器工具痕鑑定の主観性 承前

 大きな問題ではないとして見逃されてしまいそうな点に、個々の線条痕の特徴に対する評価がきわめて主観的であることが挙げられる。線条痕の特徴は極めて重要であるのだが、その評価は難しく、これまで主観的に評価されてきた。線条痕を記述するパラメーターとして科学的に受け入れられるものは存在せず、工具痕鑑定者らは定量的でない漠然とした言葉で線条痕を特徴づけてきた。本件とは別の被告人に対する裁判で、ある工具痕鑑定者は線条痕の一致について次のように説明した。「1、2本の線条痕が対応しているだけでは痕跡一致の結論には不足であるが、個々の線条痕に特徴があるならば、そして、それらの対応条痕の特徴がそれほど違わないのであれば・・・」。金属・材料科学者の視点からは、線条痕に「特徴」や「模様」があるという主張はばかげているとしか言いようがない。それらの特徴は、見た者にしか分からない主観的な内容である。その特徴の記述は定量化できず、再現すること(別の時期に全く同じ言葉で特徴を記述すること)も難しい。同僚から検証を受けることはできるが、その記述を反証することは難しいであろう。したがって、その特徴記述は科学的手法の条件を満たしていない。
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銃器工具痕鑑定の非科学性を主張する元FBI研究室長の宣誓供述書(30) [鑑定批判]

  (13) 銃器工具痕鑑定の主観性 承前

 (銃器工具痕)鑑定を行う上で決定的に重要な技術は、準型式特徴と固有特徴とを区別することであるが、その方法を明確に示した手法は存在しない。その区別ができることを明確に示した手順書、文献あるいは研究が存在しない中で、鑑定者たちは「訓練と経験」によってその技術が身に付いたと説明してきた。そのため、どのようにして固有特徴と準型式特徴の区別をするのかに関する公表された文献はなく、同業者から認められた資料も存在しない。鑑定技術を教育訓練する講師の側が、準型式特徴と固有特徴の区別をする手法を明確に説明できないのに、どのようにして訓練生にその手法を教え込むのであろうか?経験豊富な鑑定者の多くが、「固有特徴と見間違うような準型式特徴がある」とか「固有痕跡と見間違いやすい特殊な型式特徴がある」といった報告をしていることから、この問題はさらに深刻である。

   私が鑑定者らの鑑定メモ類を調査したところでは、準型式特徴の検討はほとんどなされずに、型式特徴の検査から一挙に固有特徴の検査にジャンプしている。実際、本件裁判の事件における鑑定メモを調べても、準型式特徴と固有特徴を区別する作業を行った形跡は見られなかった。私が調べた鑑定メモから分かることは、鑑定者は「オール・オア・ナッシング」の思考法で、鑑定資料が関係する製造手法では準型式特徴は一切残されず、すべての痕跡が固有特徴であるとみなしているものと考えられる。この様な鑑定手法となるのは、証明されていない痕跡固有性の仮定を、鑑定者が信じ込んでいるからであろう。
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銃器工具痕鑑定の非科学性を主張する元FBI研究室長の宣誓供述書(29) [鑑定批判]

  (13) 銃器工具痕鑑定の主観性

 銃器工具痕鑑定者が鑑定で「一致」と結論する際の客観的な判断基準が存在しないことは、銃器工具痕鑑定者学会(AFTE)も、その他の鑑定者の間においても共通認識となっている。銃器工具痕鑑定者が鑑定に際して注目する点は、痕跡の類似箇所である。痕跡が類似していないことを理由に、資料が異なる銃器や工具に由来するものとして除外する基準について語られることはない。その結果、彼らは「一致」することの裏付けとなる根拠を探し回っているように見える。彼らは、DNA型鑑定や指紋の鑑定で行われているような「一か所でも異なる部分があれば除外する」という基準を採用していない。この基準は、今では無効なものとして行われなくなった鉛弾丸の成分分析(CBLA)の鑑定ですら用いられていた基準である。痕跡の対応と非対応の状態(質)の評価は難しいが、特に(銃器工具痕鑑定では)固有性のない単なる線(条痕)の組み合わせ(3本から5本程度の線の組み合わせの場合が多い)でしかないことから、対応状態の評価は難しい。同一銃器による発射弾丸や打ち殻薬きょうでも、部分的には類似しない痕跡が付けられることがあることから、類似しない痕跡があっても銃器鑑定者は、通常それを理由に「除外」の結論は下さない。ある研究結果によると、同一メーカーの異なる銃器による発射弾丸の間で15~20%の対応条痕が認められ、同一銃器の場合には36~38%の対応条痕が認められる。最近の研究では、異なる銃器の発射痕の間で25%の条痕が対応し、同一銃器の発射痕では75%の条痕が対応するとの報告もある。銃器鑑定は本質的に主観的判断で行われることから、非対応条痕がどれだけあったら「一致しない」ものとするかについては、それぞれの鑑定者の判断にゆだねられている。法科学のある研究者は、「工具痕鑑定者の中には、ほんの少しの対応条痕があれば、そのような対応条痕は異なる銃器による痕跡の間では認められないとして、一致の結論を導く。」と述べている。AFTEがいくら多くの研究結果を提示しようが、個々の鑑定に際して、銃器製造時の比較参照資料が提供されようが、彼らの鑑定に客観的な基準が存在しないことから、その鑑定が材料科学者や法科学研究者から認められることはあり得ない。
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銃器工具痕鑑定の非科学性を主張する元FBI研究室長の宣誓供述書(28) [鑑定批判]

  (13) 根拠のない固有痕跡の仮定

 銃器工具痕鑑定者は、様々な形で固有性の仮定を繰り返してきた。たとえば、「固有痕跡」、「特定の銃器」、「この世に存在するその他の銃器とは異なる」などの主張をしているが、それらに根拠はない。これまでに述べたように、発射痕の固有性の仮定は科学的に証明されたものではなく、単なる推測にすぎない。多くの製造プロセスにおいて、工具やダイに作用する力は圧縮力であり、製造ごとに工具痕を大きく変化させるせん断力が作用する過程はそれほどなく、製造された部品に固有の痕跡は残されにくい。現実には、種々の製造プロセスで付けられる工具痕の大半は準型式特徴を持ったものとなり、固有特徴とはなりえない。工具痕鑑定者はこれとは矛盾した考え方で、製造工具の先端(多くのものがタングステン・カーバイドのチップが使用されている)の変化はかなり速く、製品には「固有痕」を残すと主張している。ところが、銃身、閉塞壁、撃針、蹴子、抽筒子(これらの材料はタングステン・カーバイドや大半の工具鋼よりずっと摩耗しやすい)表面の変化のしやすさと比べれば、加工工具表面は実質的に変化がないといえる。鑑定者の考え方は合理的でない。

 工具痕識別の根拠とされ、鑑定者が主張する弾丸や薬きょうの「固有」痕跡は、種々の段階で付けられた痕跡の総合結果である。すなわち、製造過程で付けられ、その後の部品の取扱いや仕上げ加工で付けられ、そして製品の使用時に付けられる痕跡が重なり合っている。固有痕とされる痕跡が製造時に付けられたものであると仮定しても、その痕跡が製品固有のものか、準型式特徴を含んだものかの区別ができるものとは、私のような生産金属学者にとって大きな疑問である。それぞれの製造ラインについての特別の知識なしでは、痕跡を見ただけで、それが固有特徴か準型式特徴であるかの区別をすることはできないはずである。その区別をするためには、それぞれの製造設備や製造後の製品の流通過程までの知識が必要である。銃器鑑定者は、銃器の製造法の一般知識はあるだろうが、それだけの知識では、弾丸や薬きょうに認められる特定の痕跡がどのようにして付けられたのか 、それが固有痕といえるものか準型式特徴であるのかを決定できるだけの知識としては不足である。私が生産金属技術者として製造過程を観察したところでは、工具痕は間欠的に再現されることがあり、単一の製品を加工した時でも、痕跡特徴が断続的に再現されることを経験している。したがって、連続製造された製品に、連続して準型式特徴が再現されるのではなく、ずっと前に製造された製品、あるいは後に製造された製品と準型式特徴を共有することが、場合によって生じえる。
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銃器工具痕鑑定の非科学性を主張する元FBI研究室長の宣誓供述書(27) [鑑定批判]

(12) パターン照合技術の不適切なたとえ

 「訓練と経験」あるいは「見れば分かる」式の主張に基づく鑑定に対する批判に耐えるために、彼らは、主観的パターン照合技術が、科学的裏付けがなくても有効なものであり、それは両親が双子の子供を見分ける際に、「毎日使われている」能力と同じであると主張した。このたとえは、銃器工具痕鑑定手法との関連はなく、様々な理由から不適切なものである。

 まず、両親は、ほとんどの場合、静止した状態で双子を識別しているのではない。意識的あるいは無意識にかかわらず、言葉にできない多くの手がかりをもとに識別しているし、言葉を手がかりに識別していることも多い。

 2番目に、静止した状態、たとえば写真によって識別する場合や子供が睡眠中に識別する場合であったとしても、痕跡鑑定とは異なる多くの情報がある。たとえば、皮膚のパターン、質感、色調、手足の変形、大きさ、形状、位置などの視覚的手がかりがたくさんあり、双子を識別できる。それに対する銃器工具痕鑑定では、線条痕の本数と幅などの基本的情報しか利用できないのである。(線条痕の深さは通常有用な情報でなく、利用もされてこなかった。なぜならば、条痕を形成する際に作用する圧力が変化しやすく、(そのため、線条痕の深さは変化しやすく)これまでは、線条痕があるかなしかのみが注目されてきた。

 3番目に、両親は、毎日、それも1日中見ている子供を見分けているのである。銃器鑑定者が鑑定を行う銃器は、その時初めて見るメーカー製のモデルであったり、これまでに見たものであったとしても、1日中見ていたものではない。

 4番目に、「日常生活」と科学研究所とは異なる。両親が一卵性双生児を見分ける能力は、科学界が提供する 物理法則が提供する反証可能な仮説に基づいて行われているものではない。そのため、厳密な手法は必要とされず、その手法の検証をしたり、仲間内の検討を要するものでもなく、その識別手法を厳密に検証したり、そのエラーレイトを決定する必要もない。
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