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銃器工具痕鑑定の非科学性を主張する元FBI研究室長の宣誓供述書(17)  [鑑定批判]

(7) 型式特徴、準型式特徴と固有特徴 承前

 銃器工具痕鑑定者が鑑定の際に前提としている2番目の仮定は、痕跡の再現性(痕跡の一貫性)である。これは、銃器の部品によって発射弾丸や打ち殻薬きょうに付けられる工具痕が、相当長期間にわたって、弾丸を多数発射しても変化せず、同じ痕が再現されるというものである。この仮定には、工具痕に関する3種類の推定が含まれている。すなわち銃器から実包を発射した際の発射痕再現性、銃器製造時の工具痕の再現性、及び工具痕を鑑定者が観察する際の認識再現性である。この3点の再現性推定については、銃器の製造過程の金属学的考察を簡単に行った後に論じることとする。

(8) 製造過程と金属学的影響に関する考察

 銃身、抽筒子、撃針、閉塞壁などの銃器の部品を製造する際に利用される加工法や成型法には、様々な種類のものがある。たとえば、銃身に腔旋を加工する方法には、溝が付けられたマンドレルを用いる成型加工、マンドレルとロータリーハンマーを用いる鍛造法、ブローチを用いる切削法、タングステンカーバイド製のボタンを用いる塑性加工法などがある。ブローチでは、金属が切削除去され、それ以外の加工法(成型加工、鍛造、ボタン加工)では金属が塑性変形している。銃器のその他の部品の製造に際しても、成型加工、熱処理や仕上げ加工に様々な手法が用いられる。金属鉱石から製品に至るまで、銃器の製造過程には様々な金属学的検討が必要である。製品の使用法に応じて金属材料を選択することから始まり、製造コスト評価、(鋳造、鍛造による大まかな形状加工、切削加工、組み立て、熱処理、仕上げ加工などの)各製造段階における作業の利便性、製造過程全体を通じたプロセス管理、販売後の故障解析などを各部品ごとに行う必要がある。
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銃器工具痕鑑定の非科学性を主張する元FBI研究室長の宣誓供述書(16) [鑑定批判]

(7) 型式特徴、準型式特徴と固有特徴 承前

 工具痕に影響を与える要因には様々なものがあるが、それらの要因の主なものは、材料に用いる合金の種類、部品の製造手法、製造過程の潤滑方法、製造機械の保守状態、製造ロットの大きさ、製品の流通過程と製造後の保守状態である。生産金属学と法金属学の両者を専門としている私の経験からいうと、製品(ここで問題としているのは銃器の部品)の製造時における圧力をかけた接触によって生じる工具痕には、準型式特徴が現れている場合が圧倒的に多い。もちろん、固有特徴が残される場合も少なくはない。準型式特徴が現れやすいのは製造環境が「清浄」である場合で、潤滑油を交換した直後や、加工物とダイとの間に介在する微粒子を清掃した場合などである。

 これまで論じたように、製品の生産過程には複雑な要因が影響しあうことから、製造条件は極めて複雑多岐にわたり、これまでに行われた研究は極めて不十分なものでしかない。それらの研究は、実験計画が不適当なものや、研究の結論の根拠を示すような実験を行っていないものばかりである(これらの研究の結論は、科学的に許される範囲を超えており、その結論を法廷に持ち込むことは許されない)。また、これらの研究は、個体識別をする際に、現在AFTEの仲間内でしか認められていない仮定を、さも一般的に成立する仮定であるかのように扱っており、結論に何らかのレベルの信頼性を示すべきところを、絶対的な信頼性があるかのように主張している。この点については、後に紹介するようにNASも私と同意見である。

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銃器工具痕鑑定の非科学性を主張する元FBI研究室長の宣誓供述書(15) [鑑定批判]

(7) 型式特徴、準型式特徴と固有特徴 承前

 これまでに、銃器の各部品上に存在する準型式特徴に関する多くの論文が発表されている。その中には、銃尾あるいはボルト表面の加工の際に付けられる工具痕を扱ったものもある。ラーディツァバル(Lardizabal)の1995年の論文には、連続製造された2丁のヘックラー&コッホのUSP拳銃の遊底頭には、「質と量の両面で素晴らしく類似した」痕跡が認められたとのことである。ラーディツァバルがさらに試射試験を行ったところ、この準型式特徴は、多数の弾丸を発射した後でも変化しなかった。1999年にビリー・マティー(Billy Matty)は、口径9mm、ローシンL9型拳銃の遊底頭に埋め込まれた鋼製部品に、同様の類似痕跡が認められたとの論文を発表している。この痕跡は、当該部品をプレス成型する際にダイとプレスによって付けられた。ロペス(Lopez)とグルー(Grew)は、連続製造された6丁のルガー・ライフル銃のボルトに準型式特徴が認められたと報告している。ボルト表面のミクロシル・レプリカを顕微鏡観察すれば、表面の擦過痕とびびり痕跡によって、これらの部品を区別することができるが、同心円状の切削痕跡は、それらが一致していると勘違いするほど類似性が高かった。これらの遊底頭やボルト表面に認められる準型式特徴や、後に紹介する例を考えると、銃器工具痕鑑定者が、これらの痕跡を用いて個体識別ができるのかどうか疑問の念を抱かざるをえない。

 (スミス&ウェッソン、シグマ拳銃を調べた)別の論文では、2個のスライドの遊底頭のミクロシル・レプリカの写真が示されている。これらには平行状の擦過痕が認められるが、それらは打ち殻薬きょうのきょう底面に認められる痕跡よりも深く、間隔が細かい条痕である上に、それらの条痕の区別を付けることは現実問題として困難である。

 これら2丁の拳銃の間に驚くほど類似性の高い痕跡が認められたことから、この拳銃の製造法が調べられた。これら2丁の拳銃は、同じ日に同じ小売店に納品されていた。製造日から納入日までの日数は不明であったが、製造会社によると、切削工具を交換するまでの間に、200本から1000本のスライドが加工されるとのことである。
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銃器工具痕鑑定の非科学性を主張する元FBI研究室長の宣誓供述書(14) [鑑定批判]

(7) 型式特徴、準型式特徴と固有特徴

 法科学的個体識別の各段階で、最も困難の少ないのは型式特徴の評価であろう。しかしながら、この段階といえども誤りが発生することが文献に紹介されている。鑑定の原理が検証されておらず、統計的基礎を欠いている問題はさておき、実用上の観点から見ても、工具痕鑑定者にとっての鑑定上の困難は、準型式特徴を固有特徴と見間違わないようにすることにある。このことは、AFTEの文献でも繰り返し述べられている。準型式特徴と固有特徴との区別の重要性は、いくら強調しても強調しすぎることはない。工具痕鑑定者が、ある弾丸や薬きょうに残されている痕跡を調べて、それを特定の銃器から発射されたものと関連付けたとしたら、それは取りも直さず、その結論の根拠とした痕跡が準型式特徴ではなく、固有特徴であると判断したことを意味する。しかしここで、工具痕鑑定者はどのようにして準型式特徴と固有特徴との区別ができたのであろうかという素朴な疑問が湧いてくる。一群の痕跡(たとえば線条痕)を顕微鏡で観察した時、工具痕鑑定者は果たして、この条痕は準型式特徴で、あの条痕は固有特徴だと区別できるのであろうか?オール・オア・ナッシングの考え方で、すべての条痕が準型式特徴になる場合と、すべての条痕が固有特徴になる場合とに分かれるのだろうか?その場合、準型式特徴から固有特徴に移行するところに線引きができるのであろうか?たとえば、製造工具やダイには固有特徴があるかもしれない(ないかもしれない)。その特徴がワーク(製品)に転移した時、それが突然、(その部品で構成される)特定の銃器の固有特徴となるのであろうか?工具の持っていた特徴のどれだけの割合が準型式特徴として転移し、どれだけの割合が固有特徴となるのであろうか(あくまでも固有特徴が生じるとして仮定したとき)。AFTEの鑑定理論では、この問題に対して何らの解答も与えていない。

 AFTEジャーナルに発表された論文に、2丁のスミス・アンド・ウェッソンの拳銃の発射痕の間に極めて高い類似性が認められた事例が報告されている。その著者は以下のように指摘している。

 「銃器鑑定分野は、この数年間準型式特徴の亡霊に取りつかれている。この論文は、準型式特徴を固有特徴と見間違え易い例があるとの警鐘を鳴らすものであり、これを見間違えれば誤一致(空振り)鑑定となる。」
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銃器工具痕鑑定の非科学性を主張する元FBI研究室長の宣誓供述書(13) [鑑定批判]

(6) 全米科学アカデミーとAFTEの鑑定 承前

 米国の科学界内でもっとも権威のある発言を行っている米国科学アカデミー(NAS)が、工具痕鑑定が用いている仮定は科学的に確立しているものではないと結論付けている。米国科学アカデミー内の独立した二つの委員会が、銃器工具痕鑑定の個体識別の概念は、正当な科学界から許められたものではないと結論付けている。そのうちの一つの報告書で米国科学アカデミーは「銃器関連工具痕の唯一性がどの程度あるのかを科学的に明らかにし、さらには、その唯一性の程度を確率的に定量化するためには、今後相当な量の研究を行う必要がある。」と結論付けた。しかも、その報告書作成のきわめて早い段階から、「工具痕の唯一性が明確にされていない」ことが判明していた。NASの2番目の報告書は、「銃器工具痕鑑定が根拠とする科学的知識は極めて乏しい」とした上で、次のように述べている。

 「個々の銃器や工具に存在する変数についてよく分かっていないため、何点の類似した痕跡があれば、どの程度の確実性をもった結論を導くことができるのかを決定することができない。鑑定法の信頼性や反復性を理解するために必要な研究がほとんどなされていない。ただ当委員会も型式特徴が、大量な資料の中から候補を絞り込む上で役立つことは認める。製造時あるいは摩耗によって形成される個別パターンは、場合によっては痕跡の由来を特定できるだけの十分な特徴があるかもしれない。しかし、もっと正確で反復性のある鑑定を行うためには、さらなる研究を行う必要がある。」

 唯一性の仮定が科学的に確立していないことは別にしても、型式特徴、準型式特徴及び固有特徴の違いを識別する能力が、痕跡の由来を特定する(個体識別する)上で極めて重要である。
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銃器工具痕鑑定の非科学性を主張する元FBI研究室長の宣誓供述書(12) [鑑定批判]

(6) 全米科学アカデミーとAFTEの鑑定 承前

 銃器工具痕鑑定者が、その鑑定の有効性の根拠としていものは、次の二つの仮定と考えられる。それは「唯一性」と「再現性」の2点である。

 a. 唯一性(Uniqueness):痕跡が特定のものに由来しているとの結論が有効であるためには、銃器が薬きょうや弾丸に付ける痕跡が、特定の銃器にしか存在せず、その他の銃器には絶対見られない特徴である必要がある。言い換えれば、特定の銃器に由来する痕跡との結論を導くためには、その銃器にしか存在しな痕跡を根拠にする必要があり、製造ロットが同じ2丁以上の銃器の間で共有される準型式特徴を根拠にしてはならないということである。この重要な点については、さらに論じる。

 b 再現性(Reproducibility):ある銃器に固有とされるいかなる特徴も、弾丸を次々と発射した際に、それが常に痕跡に再現されなければならない。それによって初めて、問題となっている弾丸との間で対応しない痕跡があるときに、それが特徴の相違点と確定できることから、異なる銃器による痕跡との結論が確実となる。ただし、この根拠は両刃の剣であることを心得なければならない。銃器の部品を製造する工具の表面が、それぞれの部品に固有の痕跡を残すほどもろい(変化しやすい)ものと仮定する一方で、銃器の部品表面(銃身、撃針、抽筒子、蹴子、閉塞壁面)は、それほどもろくない(変化しない)と仮定しているのである。軟鋼被甲の弾丸(銃身の旋丘と旋底の摩耗を促進するために選ばれている)を用いて4000発の弾丸を連続発射した実験で、1発目と4000発目で痕跡が「一致」したとの結果がある。それならば、銃器の製造過程でも同様の再現される痕跡が残されると考えた方が妥当であろう。いや、銃器の部品の製造過程では、痕跡の再現性はもっと高いはずである。なぜならば、部品製造に用いられるダイは、もっとも硬い材料の一つとして知られるタングステン・カーバイドが用いられ、製造時にはダイと材料との間の摩擦を低減させる潤滑剤が用いられるのである。
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銃器工具痕鑑定の非科学性を主張する元FBI研究室長の宣誓供述書(11) [鑑定批判]

(6) 全米科学アカデミーとAFTEの鑑定

 全米科学アカデミーはバリスティック・イメージングと題する報告書で以下のように述べている。
 「法科学的個体識別は、実際のデーターなしに行われている科学である。そこで用いられている偶然に一致する確率は、主観に基づく確率から推定された直観的な値であるか、単にその確率が無視できるものとしているかのどちらかである(実際には後者の場合が多い)。」

 現実の鑑定に客観的な統計的な考え方を導入することは、弾丸発射の過程のばらつきがあまりにも大きいことから、実際には困難である。たとえ同じ銃器から弾丸を発射したとしても、実包の状態、銃器の部品の摩耗や清浄さの程度、発射薬の燃焼状態、それから得られる燃焼圧力などが完全に同一条件となることはありえない。結局のところ現在行われている銃器鑑定は、鑑定者の直観と経験に基づいて、同じ銃器で付けられた痕跡であるか否かを主観的に結論しているに過ぎない。それに対してDNA型鑑定は、客観的な基礎に基づいていて、秩序だった統計的な結論が得られている点で、法科学の中で特殊な分野となっている。

 全米科学アカデミーの報告書の2名の著者が、各法科学の結論に含まれる主観の大小を順位付けしている。その結果によれば、主観性が最も低いのはDNA型鑑定であり、続いて血清学鑑定(血液型の決定)、薬物鑑定の順となっている。銃器工具痕鑑定は、主観性が高い鑑定分野としてランク付けされており、その程度は繊維鑑定と同レベルである。血液の飛沫痕鑑定、声紋鑑定、歯形痕鑑定は、銃器工具痕鑑定よりさらに主観性が少しだけ高いものとして分類されている。筆跡鑑定、毛髪鑑定はそれらよりさらに主観性が少しだけ高いものとして分類されている。

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銃器工具痕鑑定の非科学性を主張する元FBI研究室長の宣誓供述書(10) [鑑定批判]

(5) 工具痕識別法の金属学的考察 承前

 2つの金属に力が作用して接触すると、通常「軟らかい方」の材料表面に、「硬い方」の材料の特徴が付けられる(ただし、これはあくまでも一般論であり、(痕跡の付き方が)硬さのみに支配されないことは金属/材料科学の常識である。これは直観と反することから、この分野の専門家以外には知られていない)。先に示したように、このような圧力のかかった金属間接触は、銃器から弾丸を発射する際に、薬きょう(雷管)と撃針、きょう底面と閉塞壁面、弾丸と銃身、膨れた薬きょうと薬室内面などで発生する。これらの圧力接触によって付けられる線条痕や圧痕を比較することが銃器鑑定の基本であり、銃器鑑定者はその比較結果から結論を導く。

 実包が銃器に装填されてから排莢に至る過程に関して、その過程が常に同じ動きであり、したがって薬きょうが同じ動きをするものと主張されることがある。これは、実包の発射経過をマクロ的に見れば正しいであろうが、(線条痕や圧痕を観察する際のような)顕微鏡的なレベルでみると正しくなく、この過程の変動は痕跡に変動を与える。
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銃器工具痕鑑定の非科学性を主張する元FBI研究室長の宣誓供述書(9) [鑑定批判]

(5) 工具痕識別法の金属学的考察 承前

 痕跡の固有性を仮定して行われるパターン照合過程において、工具痕鑑定者は痕跡特徴を3種類に分類している。それは、「型式特徴」、「準型式特徴」と「固有特徴」の3種類である。「型式特徴」は、多くの製品に共通する特徴で、その特徴は製品の設計段階で決まり、その特徴が製品に残されるように製造過程で配慮されている。銃器を例にとると、型式特徴には旋丘や旋底の本数や回転方向があり、この特徴は発射弾丸にも残されるが、異なるモデルのものも含め、多くの銃器の間で共有されている特徴である。型式特徴は発射痕鑑定の早い段階で調べられ、大量の対照資料の中から、検査可能な数量まで対照資料の数を絞り込むために利用される。

 「準型式特徴」は、銃器を含む一連の製品の製造過程で、多数の製品にわたって偶然に付けられる実質的には同一の痕跡である。この特徴がどれだけの製品に引き継がれるかは、工具の寿命や製品の製造方法に依存するが、典型的な製品では数か月にわたって製造されるロットに引き継がれる(ことがある)。準型式特徴を共有する製品の数は極めて多数にのぼり、何ヶ月にもわたって製造された製品で共有され得ることは後に説明するとおりである。しかしながら、その製品の数は、型式特徴を共有する製品のサブセットであることから、この特徴は「準」型式特徴として定義されている。

 固有特徴とは、AFTEの定義によれば、1丁の銃器、あるいは1本の工具にのみ認められる特徴である。

 ここで注目しておきたいことは、痕跡鑑定者は拡大倍率が5倍から40倍の実体顕微鏡か比較顕微鏡を用いて、弾丸の限定された狭い範囲を観察しているに過ぎない点である。ここで比較している痕跡は、個々には特徴のない痕跡(通常は線条痕)の組み合わせである。このような痕跡は、異なる工具や銃器に由来する痕跡であっても(以下に述べるように)、かなりの部分が一致する。人間のパターン認識の記憶力は限られており、特につかみどころの乏しい幾何的パターンを記憶することは難しい。その一方で、同じ製造メーカーの銃器の間では、互いに類似した痕跡が残されていることが多いのである。例えば、連続加工された6個のライフル銃のボルト表面には、顕微鏡で観察しても「驚くべきほど」類似性の高い工具痕が残されていたという研究結果がある。さらに、異なる工具に由来する工具痕の間に51.7%もの対応条痕があったとの研究結果もある。極めて主観的に行われている工具痕鑑定では、痕跡の記憶力はきわめて重要な意味をもつ。実際AFTEの鑑定ガイドラインでは、「一致」の結論は、過去の鑑定例と教育訓練で目にした、「異なる工具によって付けられた」痕跡の間に認められた類似性の記憶に基づいて導くように指示されている。

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銃器工具痕鑑定の非科学性を主張する元FBI研究室長の宣誓供述書(8) [鑑定批判]

(5) 工具痕識別法の金属学的考察 承前

 「(二つの痕跡を比較したときに認められる)痕跡の対応状態が、異なる工具によって付けられた痕跡の間に認められる最良の対応状態を上回り、同一の工具によって付けられた痕跡の間に認められるものと同様の対応状態である時にのみ、それらの痕跡の対応状態には意味がある。(二つの工具痕を比較し、)それらの痕跡の間に「十分な対応」が認められたという結論は、それらが異なる工具によって付けられた可能性が極めて小さく、異なる工具で付けることが実質的に不可能であることを意味する。」

 上に示した判断基準は、AFTEが自ら認めているように主観的なものである。全米科学アカデミーの米国学術研究会議の最近の報告書では、AFTEの理論は具体性を欠いた主観的な方法論に基づいたものであるとして、以下のように批判している。

 「銃器工具痕鑑定の根本的な問題は、正確に定義された手法が存在しないことにある。先に紹介したように、AFTEは異同識別の理論を採択したが、そこには具体的な手順は示されていない。それは、1組の工具痕を比較した際に、弾丸の線条痕などの痕跡の間に「十分な対応」が認められた時には、それらの工具痕が同一の工具あるいは銃器に由来するものであると鑑定者が主張できる、と述べたものに過ぎない。そして、「異なる工具によって付けられた工具痕との間に認められる最良の対応関係を上回り、かつ、同一の工具によって付けられた工具痕の間に認められる対応関係と矛盾しなければ、それらの痕跡の対応関係は有意である。」としているが、「最良の対応関係を上回る」とか、「矛盾しない」の意味が定義されていない。この基準は、個々の鑑定者の経験に基づいた判断にゆだねているものに過ぎない。工具痕の異同識別の鑑定分野では、このAFTEの文書が最良の手引書であるにもかかわらず、この文書からは、鑑定結果にどれだけの有効性があるのか、信頼性があるのか、反復性があるのかという疑問には一切答えることができない。」
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