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銃器工具痕鑑定を証拠から排除せよとのクリフォード・シュピーゲルマンの宣誓供述書 (11) [鑑定批判]

(11) バリスティック・イメージングの結論 承前

 実際バリスティック・イメージングの編集委員会は、これまでの研究から抜け落ちている大量の情報を埋め合わせる努力を行った。銃器工具痕鑑定に関する情報と文献を当時のAFTEの会長のアン・デーヴィス(Ann Davis)から受け取った後、委員会はAFTEに、人手に頼って行っている銃器工具痕鑑定のエラーレイトを求める研究にAFTEが参加しないかと尋ねた。デーヴィス女史とAFTEは、その種の研究に興味はないとの答えであった。エラーレイトを解明するには大規模な実験を行う必要があるため、AFTEの参加なしでは意味がなかった。一方で、そのような研究が全米発射痕データーベースの可能性の検証から道を外しすぎるのではないかという疑問が大きくなり、結局この計画はとん挫した。

 その結果、委員会の分析は、現存する研究結果からは銃器鑑定の信頼性を示すことはできないという結論に終わった。この結論は、科学団体としては避けがたい結論であった。現在のところ、裁判所に対してだろうが、議会に向けてであろうが、その他の科学者に対してであろうが、銃器工具痕鑑定が科学に基づいていないということは明らかであると我々は主張する。そして、「科学的な根拠に基づく鑑定とするためには、今後、大量の研究を行う必要がある。」とバリスティック・イメージングの82ページに記した。委員会は、銃器工具痕鑑定が許容できるものか否かの結論を急いで出すことはしないが、銃器工具痕鑑定の鑑定結果を示す際に、その結論が統計的根拠に基づいているとの発言を許さないことは確認しておきたい。そのような根拠が一切存在しないからである。したがって、統計的根拠がなければ言及できない鑑定結論の確からしさについて述べることは一切許されない。このこともバリスティック・イメージングの82ページに記載した。
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銃器工具痕鑑定を証拠から排除せよとのクリフォード・シュピーゲルマンの宣誓供述書 (10)  [鑑定批判]

(11) バリスティック・イメージングの結論

 以下、我々が行ってきたことを具体的に説明しよう。バリスティック・イメージングの著者らに課せられた仕事は、全米の発射痕データーベースの実現可能性を明らかにすることであったが、それは取りも直さず銃器関連工具痕に固有性があるか否かの問題に解答を与えることであった。すなわち、特定の発射痕を、この世に存在するすべての銃器を排除して、特定の1丁の銃器と結びつけることが可能であるか否かの問題に答えることであった。その作業のきわめて初期の段階で、この問題に対する答えは現段階では得られない、という結論に至った。そこで、この結論をバリスティック・イメージングの第3章に、次のようにゴシック体で記載した。

 結論:銃器関連工具痕の固有性と再現性という基本的仮定の有効性は、未だ十分に示されていない。 
                          バリスティック・イメージング 第3章81ページ

 委員会は、次のように注意深くコメントしている。「本委員会の使命は、銃器工具痕鑑定の有効性を総括するものではない。」本委員会の使命は銃器鑑定の有効性について結論を出すものではなかったが、バリスティック・イメージングの81ページで、さらに次のように述べた。実際のところ、(銃器鑑定の)有効性を示すためには検証試験を受ける必要があるが、未だそのような試験を受けていない。「銃器関連工具痕に固有性があることを示したり、さらには固有性の程度を確率的に数量表現するためには、今後相当量の研究を行う必要がある。」同じく第3章には、「工具痕証拠の一般的有効性と痕跡の固有性を検証するには、NISTが行った実験よりもずっと広範囲で多数の銃器と実包を用いた実験を行う必要がある(第9章参照)。さらに、銃器を発射する際に問題となる無数ともいえる条件を考慮した正確な定量評価が必要となる(第2章参照)。要するに、(銃器工具痕分野では)必要とされる研究を、長年行わずに避けて通ってきたが、その必要な研究を行うことが最大の課題となっている。」とバリスティック・イメージングの18ページに記述されている。結局のところ、私がこれまでに主張してきたことが、銃器鑑定を有効なものにするためには必要だということである。

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銃器工具痕鑑定を証拠から排除せよとのクリフォード・シュピーゲルマンの宣誓供述書 (9) [鑑定批判]

(10) 統計手法を用いていない銃器鑑定

 米国学術研究会議が最近公表した2冊の報告書「アメリカの法科学の強化-未来への道程」と「バリスティック・イメージング」は、銃器鑑定について次のように指摘している。この意見に私はまったく同感である。すなわち、銃器鑑定者によってこれまで行われてきた研究と集積されたデーターは、銃器が弾丸と薬きょうに固有の痕跡を付けることを示すものではない。そのため、銃器鑑定者が弾丸と薬きょうに付けられた痕跡をもとに、その発射銃器を特定する鑑定結果の信頼性は低い。言い換えれば、銃器工具痕鑑定は、統計的基礎が確立されないままに行われていることになる。シュテファン・バンチ(Stephen Bunch)がすでに指摘しているが、銃器鑑定者は統計的手法を利用できないでいるのだ。統計的手法を用いることによって、適切な鑑定事項とは何か、利用できるデーターからどのような回答が得られるのかが明らかになる。
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銃器工具痕鑑定を証拠から排除せよとのクリフォード・シュピーゲルマンの宣誓供述書 (8) [鑑定批判]

(9) 根拠が希薄な銃器工具痕鑑定

 これまでに説明してきたことから分かるように、弾丸と薬きょうには、それぞれ固有の痕跡が付けられているという銃器鑑定者の従来の主張に根拠はないし、各銃器の痕跡によって銃器を区別することができると主張することもできない。もちろんこの種の鑑定のエラーレイトが0に近いと主張することもできないし、鑑定手法が科学的であると主張することもできない。またSOPがあると主張することもできないし、科学的な検証研究を行ったと主張することもできない。SOPの存在と有効な検証研究の両者は、工具痕の「一致」の主張が科学者から容認される必要条件である。痕跡一致の主張が一般から認められるためには、一致と結論するための判定基準がSOPに明文化されていることと、その判定基準にしたがって工具痕を付けた工具を特定した場合に、その結論の信頼性が高いことを示す検証研究が存在する必要がある。これは私の信念であるのみならず、高い評価を受けている科学者の一致した見解であり、そのことは米国学術研究会議の最近の報告書に示されている。
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銃器工具痕鑑定を証拠から排除せよとのクリフォード・シュピーゲルマンの宣誓供述書 (7)  [鑑定批判]

(8) 不完全な研究

 現在のところ、銃器鑑定の結果のエラーレイトは不明である。ただし、銃器工具痕鑑定者が主張しているような、ゼロあるいはゼロに近いエラーレイトに、科学的根拠があるとは到底認められない。検察側が提供した参考文献の中でもっとも規模の大きな研究でも、せいぜい2、3種類の銃器を用いて(その他の研究の大半は1種類の銃器しか用いていない)、2種類の実包を用いて実験したものでしかない。また、その実験はブラインド試験ではなく、試験をしていることを教えられた鑑定者が行ったものである。これらの不十分な「研究」(実際には研究ではなく技能検定試験でしかない)では、銃器鑑定のエラーレイトの近似値を求めることすら難しい。前述したように、銃器の種類とその製造法などの各種の要因を加味したエラーレイトが分からなくては、弾丸に残された痕跡を銃器と結びつけることはできない(そのような情報は、これまで調べた文献に一切見当たらなかった)。不完全な研究結果をどう結び付けようが、どのような種類のエラーレイトをも裏付ける資料とはならない。
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銃器工具痕鑑定を証拠から排除せよとのクリフォード・シュピーゲルマンの宣誓供述書 (6) [鑑定批判]

(7) 鑑定結果のエラーレイト

 科学的手法の信頼性を知るためには、その手法が誤った結論を与える確率(エラーレイト)を知る必要があることも常識となっている。的確に設計された有効性検証研究によって、SOPの正確性と信頼性を示すことができるだけでなく、その信頼性の程度を示すことができるようになる。なぜなら、各手続きのエラーレイトが分かることにより、手続き全体の総合エラーレイトを知ることができるようになるからである。健全な科学では、いかなる手法の総合的エラーレイトも推定可能であり、各段階でのエラーの内容を適切に名前付けできる。総合エラーレイトの値は、前述したようなSOPを作成したり検証する上で重要となる要因、すなわち弾丸や薬きょうの変形の影響、銃器の損傷の影響、銃器と実包の製造方法の違いによる影響、銃器と実包の材質の相違の影響、弾丸発射時に発生する火薬の燃焼圧力の相違による影響、特徴痕の現れる場所の相違による影響を受けるとともに、証拠物件の取り扱いミスや名前付けのミスも影響を与える。

 犯罪捜査研究所では、次の2種類のエラーレイトに注目している。それは、誤って一致の結論を導く確率(誤一致率、空振り率)と、一致を見逃してしまう確率(見逃し率)である。空振り率は、実際には無関係な容疑工具あるいは容疑銃器を、現場の工具痕を付けたものと誤って結論してしまう確率である。見逃し率は、実際に犯罪に用いられた容疑の工具を、現場の工具痕を付けた工具ではないと誤って排除してしまう確率である。これらのエラーレイトは、両方とも重要である。一致と結論する基準を緩める(たとえば、一致と結論する上で必要とされる対応痕跡の量と質の基準を甘くする)と、空振り率が増加する。一致と結論する基準を厳しくしすぎる(たとえば、一致と結論する上で必要とされる対応痕跡の量と質の基準を厳しくする)と、見逃し率が増加する。

 空振り率と見逃し率との間の関係はトレードオフ(二律背反)にあるが、SOPを定めた上で検証実験を行うことにより、一致の結論を得るための適切な基準を求めることができる。その結果を用いてSOPを改訂することで、これら両者のエラーレイトの最適値を求めることができる。ここで行う実験は、前述したような多様な条件を変化させて行うことによって、異なる銃器によっても類似した痕跡が弾丸に残されることがある状況を確認しなければならない。さらに、鑑定者によって結論が変化する状況を確認するために、この実験は多くの鑑定者によって行われる必要がある。小さい値のエラーレイト(たとえば1%のエラーレイト)が信頼できる値であることを確認するには、大量の(数千の)弾丸資料を用いて実験を行う必要がある。さらに、痕跡が一致したとする結論の統計的有意性とその水準(p-values)が計算されていなければならない。
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銃器工具痕鑑定を証拠から排除せよとのクリフォード・シュピーゲルマンの宣誓供述書 (5) [鑑定批判]

(6) 標準作業手順書の要件

 SOPの存在が手法の信頼性の基本線であることは、現在の科学界の総意となっている。SOPが存在しない手法や、SOPに従っていない行為の信頼性は保障されない。そのSOPも、その適用範囲内のすべて対象行為、対処すべき条件や変数の有効範囲内で、その有効性の検証を受け、有効であることが保障されていなくてはならない。銃器鑑定の分野でこの条件や変数として考えられるものとしては、多くの銃器メーカーが製造した各種の銃器の間の変動、各銃器メーカーが製造した異なる製造バッチの銃器の間の変動、製造手法の異なる銃器(たとえば鋳造銃身、切削銃身、鍛造銃身など)の間の変動が考えられる。さらなる変動要因としては、「一致」と結論する場合に着目する点が異なることによる変動、工具痕が付けられる物体の硬さによる変動、線条痕のずれの許容差を大きくとった場合と小さくとったことによる変動、異なる比較検査器具を用いることによる変動(たとえば顕微鏡や照明器具が異なることの影響)、物件の状態による変動(たとえば、変形弾丸と非変形弾丸の間での差異)、弾丸の成分が異なることによる変動(たとえばアンチモンの含有量の多い弾丸は固く、アンチモンの少ない弾丸は軟らかい。銅被甲弾丸と被甲されていない弾丸の間の差異)などが考えられる。例えば準型式特徴(連続して製造された銃器に共有される偶発的な工具痕で、「固有特徴」と見間違い易いもの)が存在するか否かは製造法に依存することから、銃器の製造法の見分け方についてもSOPに含める必要がある。銃器と実包の双方の表面硬さは、工具痕に決定的な影響を与える。SOPの検証研究を行うことで、様々な条件に適合し得る、客観性がさらに高く、正確で信頼性も高いSOPへと進化する。
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銃器工具痕鑑定を証拠から排除せよとのクリフォード・シュピーゲルマンの宣誓供述書 (4) [鑑定批判]

(5) NRC報告書が指摘した銃器工具痕鑑定の非科学性

 現在のところ、銃器工具痕鑑定は科学的手法に基づいて行われておらず、その鑑定結果は反復性と再現性の基準を満たしていない。ワシントンDCの首都警察(Metropolitan Police Department)には、そこでは「SOP」と自称している、いくつかの銃器鑑定手順書がある。それには鑑定を行う際に銃器鑑定者が踏まなければならない多くのステップが詳細に記述されている。例えば、試射弾丸の採取法は詳細に記述されている。しかしながら、これらの標準手順書には、鑑定者が発射痕の比較作業を行う際に、「固有特徴」を「型式特徴」や「準型式特徴」から区別する方法は示されていない。また、発射痕と発射銃器とを関連付ける際に、特に発射痕跡から発射銃器を特定する際に必要とされる「固有特徴」の(対応状況の)定性的、あるいは定量的な基準について一切触れられていない。そのため、個々の鑑定で鑑定者が「一致」と結論した場合に、その根拠となる痕跡特徴を鑑定書に記述することも要求していない。銃器鑑定者が用いている「一致」のための判断基準は主観的なものであり、その基準が明文化もされていなことから、今日得られた「一致」の結論の根拠となった痕跡と、昨日「一致」と結論した時に根拠とした痕跡が、同じものか異なるものなのかを知る方法も存在しない。現在行われている鑑定手法は、「私がそれを見たら、一致していると分かった。」と(根拠を示さずに)主張しているに過ぎない。

 FBIの銃器工具痕鑑定科学作業部会(SWGGUN-スェッジガン)と銃器工具痕鑑定者学会(AFTE-エフティー)の鑑定指針は、鑑定者が「一致」と結論する際に必要な視点を記述したものであり、その点においてSOPを作成する上での重要な出発点となる。それらはAFTE鑑定基準委員会報告書の「痕跡鑑定の原理---線条痕鑑定結果の結論の範囲と改訂版用語集」にあり、これはSWGGUNで承認され、発射痕鑑定基準のガイドラインとして採用された。そこに記述されていることは、「工具痕を比較して、その痕跡を付けた工具を特定するための理論は、二つの工具痕に認められる固有の表面特徴の間に、『十分な量の対応点』が認められたときに、それらは共通の工具に由来する痕跡であると結論できる」というものである。しかしながら、この内容は、SOPを作成する上で必要な詳細な記述にはほど遠いものである。はっきり言って内容のない文章である。たとえば、SWGGUNの鑑定指針2.2.3には以下の記述がある。「痕跡の固有性と痕跡の一致について現在行われている解釈は主観的性質のものであるが、それは科学的原理と鑑定者の教育訓練と経験に基づいて形成されたものである。」この文章は、SOPを作成する上で一切役立たない。有効なSOPを作成するには、「同一工具に由来する工具痕」との意見を表明する際の根拠を、客観的で詳細に記述したものが必要とされる。SOPには、たとえば、一致した痕跡と結論するには、何本の線条痕が一致している必要があるのか、その一致した条痕の距離のずれはどの程度までが許容されるのか、等について具体的な数値を挙げて記述する必要がある。もちろんそこには、線条痕とは何か、それは単なる損傷痕とどうやって区別できるのか、についても記述されていなければならない。
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銃器工具痕鑑定を証拠から排除せよとのクリフォード・シュピーゲルマンの宣誓供述書 (3) [鑑定批判]

(4) 反復性と再現性を保証するには

 反復性と再現性があることを示す上で最初に必要となり、そして最も重要なことは「SOP」と略称される「標準作業手順書」の作成である。SOPには、個々の銃器から発射された実包構成部品に残される痕跡を、その銃器に関連付ける上で必要な、すべての重要なステップが記述されていなければならない。そこには、この関連付けを行う上で適用される正確な基準(定性的、定量的な痕跡評価など)が記載されていて、発射銃器との関連付けをする上で必要な類似痕跡の定性的及び定量的な評価法が記載されている必要がある。さらに、鑑定にあたって必要となる重要な事項がすべて記載されていて、誰もが同じ結果が得られるような正確な手順が、十分に詳細に記述されていなければならない。その中でも、弾丸や薬きょうなどの証拠物件を検査する上で必要となる明文化された手順が特に必要である。この手順書には、用いるべき顕微鏡の種類が指定されている必要があり、弾丸と薬きょうの検査すべき場所とその場所の数、そして観察すべき事柄をなども含まれていなければならない。旋丘痕、旋底痕、線条痕、ドライブ・エッジその他の発射痕異同識別に利用されるすべての痕跡を、誰からも誤解を受けない形で定義する必要もある。工具痕を工具へ、薬きょうを拳銃に、弾丸を拳銃になど、痕跡と痕跡を付けたものとの関係を特定する上で用いる判断基準は、最大限詳細に指定されていなければならない。「SOP」では、痕跡が「一致した」とする場合に、どの痕跡を利用して判断したのか、その痕跡がどの程度類似していなければならないかを記述していなければならない。さらにその手順書には、弾丸が特定の銃器によって発射されたものではないと結論する場合には、工具痕(線条痕)が互いにどれだけずれているのか、インチ法なりなんなりの単位をもって計測した結果によって示された基準が含まれている必要がある。これらすべての分析法は明文化されていなければならず、その手順書は、すべての鑑定で適用されなければならない。「アメリカの法科学の強化-未来への道程」で指摘したとおり、標準作業手順書と、それに関連した文書が存在しない鑑定は、科学界の主流派から許容されることはない。2008年のNRC報告書「バリスティック・イメージング」が指摘した問題点については、以下に述べることにする。
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銃器工具痕鑑定を証拠から排除せよとのクリフォード・シュピーゲルマンの宣誓供述書 (2) [鑑定批判]

(2) 銃器鑑定者の誤った思い込み

 銃器鑑定者は、個々の銃器が、その銃器固有の痕跡を弾丸や薬きょうに残すと信じ込んでいる。私は銃器鑑識の文献を何十編も読んでみたが、このような銃器の固有性を正当化しそうに見える文献はただの1編も存在しなかった。私は、検察側が参考文献として提示した文献も読んだ。100歩譲って、弾丸と薬きょうには、それぞれ固有の痕跡が付けられている仮定しよう。ところが、そのような仮定を置いたとしても、銃器鑑定者が用いている現在の方法論では、弾丸と薬きょうの痕跡から、それらの資料を特定の銃器と結びつける鑑定結果を正当化する科学的裏付けは一切存在しない。このことは私の意見であるとともに、科学界の総意であることが、2008年のNRC報告書「バリスティック・イメージング」と2009年のNRC報告書「アメリカの法科学の強化-未来への道程」に凝縮して示されている。これらの報告書の内容は、アメリカ統計学会によって承認されたものである。

(3) 科学的手法とは

 科学的手法とは、多くの科学者によって認められた方法によって検証された仮説に基づいたものであり、そこでは反復性と再現性が保証された科学的手続きが用いられる。これによって、科学的手法を用いた分析結果の信頼性が保証されている。反復性が保障された銃器工具痕鑑定結果とは、同一の鑑定人が(同一物件に対して)異なった日時に行った鑑定結果が、同一になることを意味する。再現性が保障された鑑定とは、異なった鑑定人が(同一物件に対して)行った鑑定結果が、すべて同一になることを意味する。鑑定手法にこのような特性がないとすれば、その方法では信頼性の高い正確な結果は得られないことを意味する。

 銃器工具痕鑑定の信頼性を保証するためには、弾丸と薬きょうの発射銃器を特定をする上で行われるすべての鑑定経過で、科学的手法を用いる必要がある。すべての鑑定経過で反復性と再現性が保障されていなくては、同一鑑定人が異なった日には別の結論を出すのではないか、異なる鑑定人ならば別の結論を出すのではないか、という疑問に答えることはできない。
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